情報が行き届かない。
テレビが点かなければ、映像情報が届かない。
スマホで暫くは見ることが出来ても
充電が切れるとそこでおしまいだ。
乾電池式ラジオは重宝するが
「知りたい情報」を得るにはいささか不便ではある。
何度も同じことを繰り返して放送しているけれど
欲しい情報をいつしゃべってくれるかわからないから
ひたすら聴き続けるしか無い。
SNSは、有効性も高い反面
デマも拡散しやすい。
そして信憑性を確かめる手段に乏しい。
新聞は、せいぜい昨日の様子を伝えるに留まる。
『今』のことはわからない。
そもそも、配達されないかも知れない。
かくして、災害の真っ直中にある『被災者』は
情報の無い状況に置かれがちだ。
北海道胆振東部地震では
NHKが「SNS等で情報を伝えて下さい」とアピールしたそうである。
被災地以外の場所では、
刻々と流れるテレビの情報が得られるから
現地にいる、情報に乏しい人に伝えて下さい、というのだ。
なるほど、それは有効な面があるだろうと思う。
しかし、注意も必要だ。
被災現地にいる人のスマホが
充電できる環境に居るかどうか。
もしも電源が確保できない状態にあるならば
むしろ連絡を控えたほうが良い。
でないと、すぐに充電が切れて音信不通になってしまうから。
「心配しています」
「大丈夫ですか」
「がんばって」
「応援しています」
そんなメッセージがばんばん入ると
みるみる充電が減っていく。
そんなメッセージは、要らない。
というか、避けるべきだと思う。
そんなものを受けて返信するのに電気を使うよりも
むしろ最低限必要な連絡を取り合ったり
ネットで情報収集したりするほうに充てたい。
「充電できる環境になったら、
詳しい状況を知らせてね」
せいぜい、その程度で良かろう。
そんなに親しくもない、単なる顔見知り程度であれば
数日たって落ち着いた頃を見計らって
様子を尋ねればよいではないか。
そもそも、
本当に知りたい情報は
なかなか得られないものだ。
どこに避難所が開設されたのか。
災害の大きな場所はどこで、
たいした影響の無かった場所はどこなのか。
どこに行けば電源(スマホの充電など)があるのか。
物資の流通状況はどうなのか。
数時間並んででも食料や水やガソリンを確保する必要があるのか、
現在余裕があるなら2,3日しのげば正常化する見込みなのか。
電気の復旧した地域、まだの地域はどこなのか。
水道が復旧した地域、まだの地域はどこなのか。
ある地区では、4時間待ちで並ぶスーパーがあるかと思えば
ちょっと離れた地区では全く列も無い。
ラジオで紹介された場所では、順番待ちと充電待ちで6時間かかるのに
ほんの200m離れた別の場所では数人が充電しているだけだとか。
早朝からガソリンスタンドに並んだけれども
そもそもそこには在庫がなくてローリーが来るのを待っている状態だけど
いつ来るかわからないとか。
でも隣の地区では並ばなくてもどんどん給油できるとか。
あの道が陥没していて通れない、
この辺は全く問題ないとか。
普段であれば、
スマホを持っていれば大抵のことはわかる。
個人にダイレクトで連絡がつく。
疑問があるたび、検索すれば良い。
けれど、災害時には全然ダメになってしまう。
いつでも必要な情報が手に入ることに慣れ過ぎてしまって
情報欠乏にうまく対応できなかったりする。
いたずらに不安を募らせてしまうかも知れない。
ネット社会だとかIoTだとか言われているけれど
そんなものは、すべてが正常に機能する、平常時の話である。
非常時、さまざまな機能が停止してしまった時に
それでも何とかやっていくためには
「情報が不足しているなりに、対処していく能力」が
必要なのであろう。
特に結論は無いのだ。
備忘録の一つである。
(「災害時の情報伝達について」おわり)