2018年07月02日

模範家畜房

引き続き、
重要文化財 札幌農学校第2農場である。

「模範家畜房」という建物がある。

mhnkchkbu1.JPG

「わが国最古の様式農業建築物」というのだから
必見であろう!



まずは、外回りから。

mhnkchkbu2.JPG

外装デザインが凝っているのである。
浮き彫りの模様がある。

移築前は、
馬車で直接2階に乗り入れるスロープがあったようだ。

木造3階建で555uもあるのだ。
屋外消火栓が設けられている。

屋内に設けると目立ってしまって……という場合に
屋外消火栓は有効であろう。

ただしこの地は寒冷地。
水抜栓が設けてある。

「いざ」というときには
水抜栓をひねって通水するところから
始めなくてはならない。

寒冷地での留意事項である。

そもそも、
積雪のたびに消火栓廻りを除雪してやらないと
「いざ」という時に使えない。

結構、
お守りが大変な設備だったりする。



mhnkchkbu3.JPG

滑車で運び入れるため
上部に木材が突き出してある。

今で言えば、ホイストレールだ。



こっそりと
避雷針も設けられている。

mhnkchkbu4.JPG

雷でも落ちたら、
一気に燃え崩れてしまいそうだから
必要であろう。



mhnkchkbu5.JPG

屋根面から生やしてあるのは
「煙突」ではなくて「換気塔」であろう。

葺き替えとか塗装とか
いろいろと手を加えているのであろうが
違和感なく保存されているように思う。



mhnkchkbu6.JPG

和風建築しか造ったことのなかった大工さんたちが
お雇い外国人のよくわからない指示をもとに
苦労して造り込んだのではないかと思う。

徒弟制で伝統の中で仕事をしていた業界の中で
かなり野心に満ちた人たちだったんじゃないかろうか?



逆の妻側。

mhnkchkbu7.JPG
かつては、荷馬車が一方通行で通過できたのであろう。



1階内部。

mhnkchkbu8.JPG

牛は、作り物だ。

適宜、床コンクリートがきれいにされ、
照明器具などが取り付けられている。

よく見れば、
あちこちに金物が取り付けられている。
耐震補強の一環であろう。



火報も必須であろう。

mhnkchkbu9.JPG



なんか、変な管が並んでいて、

mhnkchkbu10.JPG
説明があって、

mhnkchkbu11.JPG

ここで飼料を配合して
与えていたということか。



目立たないけれど、
あちこちに鋼板柱が建っている。

木の構造材にも、
いろんな補強金物が取り付けられている。

この建物も、
しっかりと耐震補強工事が行われている。



ちょうど、古い建物の耐震補強に関するお話があったので
とても参考になった。
(「模範家畜房」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 建築工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]