京都の待庵を原寸大で作り上げたものがある。
岡倉天心の言葉が掲示してあって。
展示物のクレジット記載があって。
オリジナルの説明があって。
以後、本日の記事の写真に関するライセンス表示は
以下の通りである。
ものつくり大学《待庵》原寸再現
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利-改変禁止2.1日本」ライセンスで
ライセンスされています。
原寸大であるからして、
雰囲気がとてもよくわかる。
数寄屋造りの原型であるとのこと。
実のところ、現物を見たことは無いのである。
無いけれども、再現だけれども、
見てみたら面白いんじゃないか。
細部まで、忠実に再現を試みたようである。
柿葺きの屋根なのだという。
「実物大」なのだが、
ずいぶんとこぢんまりしているのだ。
茶室とは、
そういうものなのである。
そもそも、軒自体が低い。
「昔の日本人は現代人よりも小柄だったから……」という以上に
敢えて屈んで歩くことを余儀なくさせる造り。
躙口(にじりぐち)では
靴を脱いで帯刀を外して
呼称通り、にじり寄って入らねばならない。
ほんとうに、『詫び』『寂び』を体現したような
造りなのである。
窓も一つ一つ大きさが違う。
壁をそこだけ塗らなかった「木舞(こまい)窓」。
木舞は、淀川のヨシであるらしい。
ただ外観を見られるだけではない。
中に入ってみることができる。
(実物は、小窓から中を窺い見ることができるだけらしい)
当然、入らないわけにはいかない。
幸い、この日はそんなに混んでいない。
折角だから、入ってみようじゃないか。
躙口から躙り入ると、
茶室は二畳ほど。
その一角に、炉。
奥に、床の間。
室床(むろどこ)とか、床框(とこかまち)とか床柱(とこばしら)とか
建築史で出てくる用語が満載だ。
床框の節まで再現したのか!?
草庵風荒壁仕上げの壁。
細工の一つ一つを
写真として記録したのであるが
その場では何も出てこない。
後で待庵の解説文を見つつ、
画像と見比べて
なるほどなるほどと確認するよりない。
たかだか二畳の空間の天井が
複雑なのである。
平天井と、掛け込みの化粧屋根裏。
棹縁や垂木は、竹だ。
平天井の棹縁も、床の前と炉の上とで
向きを直交させている。
次の間は、一畳だ。
更に奥に一畳ほどの「勝手の間」があるらしい。
後で知ったのだが。
軒下の、竹、竹、竹。
さて、待庵の展示も興味深いが、
展示室そのものにも目を向けてみよう。
美術館の展示は期間を区切って替わるのであるから
展示室はそれに対応できる造りである。
粗いルーバー天井の中に、
黒く塗装したダクトや配管やケーブルラックが納まっている。
ここからは、ライセンス表示とは関係ない。
敢えて暗い天井内をきれいに撮影できるような機材は
持ち合わせていないから、
この程度の画質になってしまう。
外壁側。
ガラスがあって、空間があって、外ガラスがある。
結露防止や空気入替えのためであろうか、
空調吹出口とおぼしきものが2つ。
心霊写真っぽいのは、
単にガラスに映った見学者である。
って、釈明しなくてもわかるであろうが。
国宝 待庵。
面白かったぁ!
とは言え、
見たのは飽くまで複製である。
現物は、観に行く機会があるかな?
(「待庵の原寸大模型に入る」おわり)