2018年06月16日

設計って、誰に頼めばいいの?

何か、建物でも建てようかと思った時。

「設計って、誰に頼んだらいいの?」

先にワタクシが思う結論から。


「この人に任せておけば大丈夫、という人はいない、
 自分の感覚に合う人を捜そう」


そんな人を、どこで見つけたらいいの?

すごく難しいですよね。
だって、「設計する人」って、
普段付き合いがない人たちじゃないですか。


せいぜい、評判を口コミで聞くとか
ネットで調べるとか、
過去の作品・設計例を見てみるとか
雑誌に載ってるのを探すとか
そういう手段しかない。

建築士会や建築家協会で斡旋してくれるかというと
そういうわけでもない。
紹介くらいはしてくれるけど、
あとは直接話を聞いて良ければ契約してね、程度だろうし。


テレビでやってるような『匠』に頼めば安心、とか
どこかの協会の登録建築士なら確実、とか
CASAに載ってるから絶対ハズレは無い、とか
そういう「確かな基準」なんて、
無いんですよね。


それに、各人に得意不得意だってあるだろう。

住宅ひとつを取ってみても、
狭隘住宅とか3世帯住宅とか
平屋・縁側・田舎風が得意とか
RCひとすじとか
集成材なら任せてとか
木造在来こそは、とか
かな〜りバリエーションがある。
設備や電気に対するスタンスも、さまざま。

もう、わかりっこない。




だからこそ。

「自分の感覚に合う人を捜そう」


「こうやって探したらいい」という
絶対的な正解なんか無い。
有りはしない。
あるはずがない。

自分が置かれている状況で、
可能な範囲で知恵を絞り伝手を駆使して
探すだけなのだ。

そうやって、何人かにたどり着いたときに、


1.フィーリングの合う人

2.ちゃんと話を聴いてくれる人

3.最低限の知識を有していると思われる人


くらいの観点で自分なりに選ぶしかなかろう、
とワタクシは思うのである。



フィーリングだって、
話を聴いてくれてる感覚だって、
「最低限の知識」だって、
自分の主観で決めつけるしかない。

そんなものを測るモノサシなんて、
無いのだから。



だいたい、「最低限の知識」って何ぞや。

それこそ、人間の数だけ多種多様なはずだ。
各人の思う「最低限」は、一人ひとり違うのだ。



もしもフィーリングが合って、
話を聴いてくれると感じて、
「この人、いろいろわかっているんだな」と感じられれば、
それなりにコミュニケーションを取ることができるであろう。

そうであれば、そんなに自分の感覚とずれたものが
出来上がってくることは無かろう。


何かか、どこかで引っかかる部分があると、


違和感→不信感→嫌悪感→敵対感


と、だんだんエスカレートしがちなのではないか、と
思うのだ。


たとい設計者側が良かれと思って計画したことでも、
不信感の下では「施主の意を汲まずに勝手にやった」ようにしか
受け取ることができないだろう。

1つ気になりだすと、
後から後から、次々と不信感が増幅していくであろう。



もし、「最初はいい感じだと思ってたのに、だんだん違和感が……」となるなら、
契約解除すれば良い。

解除条件は、設計契約にあらかじめ盛り込んでおくべきだ。
もちろんその際には、ある程度の設計報酬は払わねばなるまい。

それはそれで、仕方のないことだ。

合わないのに損切りを惜しんで、
結果非常に不満足に終わるくらいなら、
仕切り直したほうが良かろう。


建築物は、
一品生産の、非常に高価な買い物なのだ。

大量生産の工業製品と同じように考えることは
できない代物なのだ。


有名な建築家なら大丈夫、ということもない。
余程の高額報酬でも出さない限り、
本人だけでずっとやることはあり得ない。
実務は所員・スタッフが分担してやるに違いないのだ。

名の通った大手設計事務所だからと安心できるわけでもない。
結局は『誰が』担当するかという、属人的要素が大きかったりする。


高価なモノに資金を投じようとするのだから、
依頼者側もそれなりの手間をかけ労力をかけ知恵を絞って
取り組む覚悟が有ったら良いのだ。

(金が有り余っていて、失敗しようがイマイチだろうが
 あんまり気にならない御仁には不要な覚悟だが)



ということで、
ぜひ設計者を探すときには
『合う人』を探してみてほしい。



結婚相手を探すほどではないけれど、
ある意味人生の一大プロジェクトのパートナー選び。


慎重にいきたい反面、
「一目惚れ」でつつがなくうまくいく場合だってある。


あんまり参考になるような内容ではなくて
申し訳ないけれど、
現在のワタクシの「設計者選び」に関する思いである。


「え、フィーリングは合ったんだけど、
 専門性とか、技量とか、知識とか、大丈夫なの?」

それも含めてのフィーリングだ。

また、自分が得意ではない部分について、
知ったかぶりをして誤魔化すのではなくて、
普段の幅広い付き合いの中からそれぞれの領域に詳しい人に相談して
プロジェクトをまとめることができる人であるかどうか。

そんな信頼感も含めての、フィーリングだ。



そしてこれは、
下請けを選ぶとき、
元請けを選ぶとき、
就職先を選ぶとき、
そんな時にも一般化されるような気がするのだ。

みなさんは、どう思われるであろうか。
(「設計って、誰に頼めばいいの?」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 建築士制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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