よって、「ケンチク」としても興味深いものと言えるであろう。
もちろん、80年以上を経る間に何度も改修を繰り返していて
さまざまなモノが付加されている。
段差解消機も、その1つであろう。
この類の建物は、正面から階段を上がって入るものが多いから
車椅子使用者の動線を健常者と全く同一にするのは難しい。
適切な勾配のスロープを設けることも困難だ。
それで、このような別動線を設けている。
敢えて鉄骨・ガラス張り・白色とすることで
旧建物とのコントラストを際立たせ、
「何となく古い部分に似せて造ったゆえの怪しさ」を排除している。
玄関内部の建具は、かなりよく保存されているのではなかろうか。
電線管やボックス類は、壁面と同じ白色に塗装して目立たなくしてある。
館内全体が博物館なのではなくて、
一部を博物館として利用している、という状況である。
普通に講義室や研究室、倉庫として利用されている部分も
少なくない。
関連施設の設計図などが掲示してあったりする。
厚岸(あっけし)の臨海実験場である。
この時代に、こんな建物が!
惜しむらくは、
設備図が無いこと。
非常に興味をそそるのであるが。
昭和二年度の、昆虫標本室新営工事の平面図。
こっちは、昆蟲學及び養蚕學教室。
手描きで墨入れして……。
大変ではあるけれど、
現代よりも時間的余裕があったのかも知れない。
やっぱり無かったのかも知れない。
農學教室屋上時計台構造及小屋組排置
じっくり見始めると、
時間が足りない……。
博物館(旧理学部本館)建物の中央部は
階段室ホールになっている。
照明やら誘導灯やら、
必要に応じて後付されている。
「アインシュタイン・ドーム」と呼ばれてきたと言う。
なかなか、現代建築ではこのような装飾を施しにくい。
図面を描く人も、造る人も、
いるのだろうか?
ミュージアムカフェや、ミュージアムショップもある。
この施設、
「建築」という観点からも
いろいろと、堪能できるはずだ。
(「北大総合博物館のケンチク」おわり)