旧国鉄羽幌線の駅があった。
といっても、もうかれこれ30年以上前の話である。
だから現在は鉄道の駅は無く、「道の駅」があるのみである。
その道の駅のそばに、
かな〜り年季の入った感じの喫茶店がある。
その表には……。
天塩駅の、駅名標。
当時のものにしてはキレイすぎるような。
きっと何度か補修しているのだろう。
「天」の字の上の横棒のほうが短いのが
昔風である。
なんとも無造作に置いてあるもんだ。
この喫茶店、
かつての駅前食堂だったらしい。
そのよしみで、譲り受けたのであろうか。
横手には、
せつびの数々が。
消火栓は、積雪に負けないように立ち上げられているし
エアコンの室外機はカバーとかけて冬期養生してあるし
灯油タンクと電気メーターは積雪でも支障が無い位置についている。
この喫茶店、
昭和30年代? 40年代? という感じの内装で
ドラマのセットか何かのようであった。
どの土地にも、
その地を歴史を示す何らかのモノが遺されているものだ。
そんなこんなを見つけるのも
楽しいものだ。
そして、ある種の寂寥感を覚えたりもするのだ。
(「天塩には、かつて駅があった」おわり)