あまり名誉ではない名所があるそうだ。
そのうちの一つである。
昔々に建っていた、札幌農学校演舞場の建物を
曳家したものなのである。
「時計台」自体は、昔の面影を保っているのであるが
いつしか周囲は200万人都市の中心部となってしまい
ビルに囲まれた敷地にぽつんと存在する建物と化してしまった。
広大な大地、羊戯れる草原をイメージして来てみたら
「ビルの谷間に隠れている」のを見て「がっかり」するのだと言う。
これが羊ヶ丘に建っていたなら、
訪問客のイメージ通りなのかも知れない。
でも、「北海道」と名付けられてから150年経った現在、
この都心にこの建物が残されていること自体を楽しむこともできるはずだ。
背後には、さらに「がっかり」させる材料となるであろう、
高層ビルが出来上がろうとしている。
どんなモノに対しても、
人それぞれ好みはあろう。
がっかりする人もいれば、
それほどでもないと思う人もいれば、
感動を覚える人も、居るはずだ、たぶん。
明治11年築の建物が、現代に残されている。
そこのところを楽しめば良いのではないだろうか。
事前の先入観、イメージは
この際かなぐり捨てて訪れることをお薦めするのである。
さて、この施設。
2018年6月1日から10月31日まで、外部改修工事のため
休館となるようである(期間は延びるかも、と)。
工事中はシートで覆われてしまうため、「がっかり」な
外観すら見ることができなくなる。
札幌を訪れる際には、
そのあたりのスケジュールも確認しておくと
良いであろう。
まあ、たといココが見られなくても
彼の地には見どころがたくさんありそうだが。
(「がっかりしないで」おわり)