とにかく撤去しまくる場面があった。
スラブを斫(はつ)って、
土間配管を取り出してまで撤去するところさえある。
右側のまるいものは、
床上掃除口。
内装床組まで撤去してしまったので
少し浮いた感じになっている。
もちろん、土間スラブは鉄筋を組んで再打設する。
ルーフドレン配管は、
保温材を剥がしておく。
赤っぽいのは、
錆びているわけじゃなくて
継手のネジ部分に塗ってあった錆止塗料である。
内装のタイルを剥がしていたら、
柱がこんな状態で出てきた。
主筋、帯筋の「かぶり」が足りてないぞ!?
往年の工事の品質が
こういうところで顕になる。
裏をかえせば、
こういう改修でもしない限りは
知られることもない。
既存建物の良し悪しを判断するのは
難しいのだ。
上記柱の上部。
断熱材が貼られている。
壁も、丸裸。
天井からにょろにょろ下がっているのは、
天井板を吊り下げていた金物である。
壁にスポット状についている断熱材は、
コンクリート打設時に入っていた金属製のセパレーターが
熱を良く通してしまうのを緩和するために吹き付けたもの。
天井裏に隠れていた換気用ガラリも
姿を現している。
雨水配管とか、
給気用ガラリとか。
上のスラブが四角く下がっているのは
この上にルーフドレン金物がついているからである。
ダクト貫通孔も。
取っ払った、
もろもろ。
これらのものは、
分別してから処分場へ運ぶ。
モノによって、
行き先が異なるのだ。
機能させるべく、
せつびを組み上げるのも大変なのだが、
「もう要らない」せつびを壊すのも
やっぱり大変であったりする。
今回記事のように、
ほぼ全面撤去の場合には
安全にさえ気をつけていれば
さほど困ることはないが
ちょっとした改修のための部分撤去の場合には
既存部分の機能を損ねないように、
いまだ生きている部分を傷つけてしまわないように、
かなり気を遣わなければならない。
しかも、
十分に対策して慎重に臨んでも
たいてい予期せぬ事象が発生して
善後策に奔走することになる。
技術や材料や工法が発達して
いろんな面で省力化、効率化、単純化が図られてきている
建設業であるが、
まだまだその余地は大きいのである。
(「撤去、撤去、ひたすら撤去」おわり)