趣がある。
趣はあるのだが。
断熱は無い。
だから、氷柱(つらら)が出来るのである。
組積造の古い建物には、
耐震性もまた、無い。
だから現代使用しようと思うなら
断熱改修と耐震改修をするのが望ましい。
自分のところの暖房費がかさむ、
壁面が床が屋根面が冷たくて底冷え感がある、
というだけではない。
氷柱が落ちて、
通行人に怪我でもさせようものなら
賠償問題である。
とは言え。
趣味ではなくて古い建物を使い続けているには
理由があったりする。
経済的なものが理由であったりしたとすると
断熱改修まで手がまわらないのも致し方ない。
費用を捻出するにしても、
まずは耐震性向上であろう。
断熱性の良し悪しは、
冬期使っている状態で見ればすぐわかる。
氷柱の成長度合いが
断熱性の悪さを如実に示す。
こういうところで、
そのまま住むのは寒くて辛い。
エアコンの暖房では、
とても足りない。
冷輻射に対抗すべく、
燃焼系の温輻射に依存することとなる。
「冬期の室内目標温度は○○℃」
なんて言っていられるのは、
断熱の良い(マシな)建物。
断熱の悪い建物なら
乾球温度だけではなく
輻射温度が温冷感に大きく影響する。
空調計画は、
本来ならば「温熱環境要素」全てについて行うべきものだ。
でも大抵は「乾球温度のみ」で検討してしまう。
「面倒くさいから仕方ない」っていうことなんだろうな。
評価・判断の仕方も、難しいだろうし、
国交省の「茶本」でも要求されない。
あとは「単に、知らない」か。
厳寒地で、
燃焼系暖房が好まれる理由こそ
冷輻射による冷感なのだ。
人間の快不快など知ったことではないとばかりに
ただ自然の摂理に基づいて氷柱は育つ。
(「断熱が悪い建物ほど氷柱が育つ」おわり)