2018年02月14日

旧控訴院の魔改造

札幌市の大通公園の西端に
札幌市資料館が建っている。

かつて控訴院として建てられたものである。

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大正12年度〜13年度の建築である。

司法の権威を象徴するような
堂々とした外観である。

寒冷地の建築ゆえ、二重窓が採用されていた。
当時の建物としては異例なことだという。

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ただし、この建物を見て回ってみると
随所で「魔改造」の形跡が見られる。

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床下換気口は
ケーブル導入口と化していた。



当時は高圧受電も何もなかったのだから仕方がないとは言え
ずいぶん目立つところにキュービクルを据えたものである。

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プレハブ物置も、
そぐわない。



外壁を思いっきりぶち抜いて
これまたぶっとい煙突を後づけしたもんだ。

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よく見ると、窓を塞いで取り付けた
換気用のフードが随所に見られる。



油ボイラを使っているのであろう。
屋外オイルタンクが大胆に据えてあるし、
盤やプルボックスの類も
「これ見よがしに」と言って差し支えない取り付き方である。

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雨樋は、当時の面影を残しているようだ。

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冷房も、あるようだ。

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お約束の、
凹んだ屋根。



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ただの換気扇だけじゃなくて
第1種換気とした室もあるようだ、と
フードが物語っている。



内部は内部で、
大胆である。

その大胆さについては、以前の記事でも触れた。

無粋なファンコンベクターではあるが、
言われなければ誰も気付かないのかも知れない。

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廊下は廊下で、
壁面に取り付く盤、盤、盤。

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建築様式や、建築当時のデザインに深い造詣を有する方々にとっては
魔改造、と言って差し支えないかも知れない。

居住空間改善のために設備を設けるのはやむを得ないとしても
もうちょっとやり方があったんじゃないかとか

でもこの改修をやった当時にはそういう発想や文化がまだ無かったんだよとか

じゃあこれからどうしていったらいいのかなとか

いろんな意見や思想や政策的力学なんかが存在するのであろう。


古い組積造だから、
いずれ耐震改修をやらねばなるまい。

そういう時に、
魔改造要素をどのように変更修復改善していくのか
興味深いところである。



構造屋さんが頑張るのは当然として、
意匠屋さんも設備屋さんも
更に言えば、技術者ではなくアーティストとしての「デザイナーさん」にも関わってもらって
良い方法を選んでもらいたいものだ。
(「旧控訴院の魔改造」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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