豊平峡(ほうへいきょう)ダムというものがある。
ダムのはるか手前の駐車場に車を置く。
そこから先は、電動バスに乗って行くことになる。
別に歩いても構わないのだが、
結構距離がある。
よって、運賃を払ってバスに乗る。
自家用車を通らせないのは、
排気ガスによる環境破壊を防止で云々。
数え切れないほどダンプを動かして
でっかいダムを造った罪滅ぼし?
というわけではあるまいが。
とにかく、自家用車で進むことはできない。
トンネルを通過する。
ここを歩くのは、構わない。
排気ガスを出さない電気バスしか走らないから、
トンネル内の空気は比較的キレイであろう。
だが、だいぶ疲れそうだ。
トンネルを抜けると、
そこはダムサイトであった。
やけに、水位が低いように見える。
初見のため比較のしようが無いが、
植物の具合から見ても本来の水位はもっと高いのであろう。
アーチ式ダムからの、
豪快な放水。
看板によると、
時間を決めての「観光放水」なんだそうだ。
なぁんだ。
それでも、やはり見応えがある。
違う角度から見ても、
なかなか。
しかし、だ。
あの点検歩廊を歩くのは、
怖そうだ。
慣れるものなのか?
下部を見る。
毎日毎日放流水を浴びていて、
だんだん削れてこないんだろうか?
堤体上部には、
いろいろな構造物がある。
たとえば、ゲートに関する上屋(たぶん)。
折板屋根。
コンクリートが、
経年でだいぶ劣化しているのではなかろうか。
金属部は、定期的に塗装されているようであるが、
コンクリートはそのまま?
建築のコンクリートよりも、
遥かに強度のあるヤツだから、
問題ないんだろう。
きっと。
ゲートの銘板。
四十年以上を経ているようだ。
小屋へ下りていく階段が、
なかなか怖いぞ。
支持は、
しっかり出来ているよね?
接合部も、劣化してないよね? ね?
そこかしこのマンホール蓋は、
「開発」マークだろう。
ちょっと上の方には、
展望台がある。
ケーブルカーで、
上がれる。
まあ、歩いてもそんなに大したことはないのだが。
昇降機も、「せつび」だもんね。
見ずにおられようか。
乗らずにおられようか。
こちらもまた、
だいぶ経年を感じさせる。
なぜ、巻取り部分のボックスが
開いているんだろう。
危なくないの?
危ないでしょ?
上がった先のレストハウスには
如何にもな名前が付けられている。
ごくごく限られたシーズンにのみ、
オープンするのだという。
こいつも、それなりに手を入れているようだが
傷みが隠しきれていない感がある。
シャッターボックスは、
落雪で敢えなく外れ……かかっているだけで
何とか持ちこたえている。
何シーズン、耐えられているのであろう。
この看板を見て、
初めて知った。
ここは、「支笏洞爺国立公園」なのだ。
支笏湖とも、
洞爺湖とも、
かな〜り離れている感覚なのだが。
環境省のページを見てみたら、
登別温泉、羊蹄山地区を含んだ国立公園であった。
驚いた。
知らんかった。
上から見ると、
全貌がよく分かる。
紅葉の時期には人で溢れ、
レストハウスではジンギスカンなどを
提供するのだそうだ。
少し下流のほうにある温泉も、
格別である。
そこのインドカリーも、
隠れた一品である。
札幌市南区の一部であるが……
市中心部からは、結構距離がある。
北海道内を移動する場合、
距離を十分に考慮しておくことが必要だ。
「北海道まるごと○日間」と称して、
函館も小樽も札幌も、
旭山動物園も見たいし、
せっかく行くなら宗谷岬も、
知床もいいな。
……なんて言い始めると、
寝ている時間以外は
ほとんど移動しっ放し……
という強行軍になってしまうのだ。
気をつけたほうが良い。
しかし、だ。
函館や稚内は日帰り圏内……と言っている、
札幌の設計事務所の方々。
少なくないんだな、これが。
(「豊平峡ダムは国立公園内であった!」おわり)