氷雪の門、なるものがある。
この日には見ることができなかったが、
ここから肉眼で樺太が見える、ということらしい。
北防波堤ドームから、
ぐいっと上がったところ、
稚内公園内に建てられている。
それなりに、晴れ間が出ているのであるが、
くだんの島影は見ることができなかった。
結構高度差がある。
万一、津波が……なんていう事態になったら、
一目散に駆け上がるべき場所であろう。
同じ公園内には、
いくつか碑が建っている。
九人の乙女の碑
時代が時代ゆえ、
悲惨な出来事があった。
これも、数多き逸話の一つに過ぎない。
知られている話以外にも、
数多の苦悩で満ちていたに違いない。
氷雪の門の更に上には、
教学之碑。
あとで地図を見たら、
樺太犬の碑もあったようだ。
しまった!
でも、仕方がない。
また機会があれば見るまでの話だ。
さて、これらの碑の脇に、
駐車場と土産物屋(開いていなかったが)と
公衆トイレがある。
『せつびのブログ』としては
こちらがメインであろう。
どうってことのない、
床置ストール小便器。
新しいトイレだと、
床掃除の関係もあって
壁掛形・低リップ形にするのが
今の流行りであろう。
これを見て懐かしさを覚えるとしたら、
それなりの年齢の人物であろう。
『注意板』という名称のようだが、
吸いがら・紙・ガムなど
を捨てないでください
という、陶器製のプレートだ。
これを貼ってないと、
捨てる人が少なくなかったのか。
こう注意する文言が貼ってあるのを見て
捨てるのを躊躇する人がいたのか。
今どき、
言われなくたってそんなものを捨てはしまい。
そもそも捨てる人は
こんな注意書きを見て従うはずもあるまい。
じゃあ何のためについていたんだろうと
思わずにはいられない。
どっちにしても、
今の時代には、合うまい。
灰皿も、骨董品だろう。
立ちションしながらタバコを吹かす人物が
現代にどのくらい居るのか……。
しかも、観光地で。
この日本語表記が読める人物で。
こういう時代を感じさせる遺物的な「せつび」もまた
面白いじゃあないか。
そう思うのである。
(「望郷の念、氷雪の門」おわり)
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