昔から「屋根に積もった雪をどうするか」が
結構な課題だったりするようです。
田舎で、
土地に十分な余裕があるのであれば
三角屋根にして脇に積んでおけば良いのですが。
都市部の住宅密集地になると、
なかなかそうもいかなくなります。
屋根からすべり落ちた雪が
隣の土地にドサッと落ちてしまうのは
ご近所トラブルのもと。
むか〜し昔は
「お互い様」で済んだのかも知れませんが、
近現代はそういうわけにもいきません。
新築の場合、雪が落ちない形状(無落雪型)にしてしまう例が
多く見られますし、
既存であっても三角屋根・片流れ屋根の形状を変えて
無落雪に改修した家も多く見かけます。
たまたま見かけたこの住宅は、
元々こうだったのか
無落雪に改修したのか、
定かではありませんが……。
屋根中央部に「スノーダクト」を設けて
雪が敷地周辺に落ちないようにしてあります。
スノーダクト部分に
電気ヒーターやヒーターマットを設置して融かし、
雨水管で排出することが多いのでしょう。
とは言っても、
ロードヒーティングのように
常にしっかり融かすわけではなくて、
雨水管内が氷の柱になってしまわない程度、
水みちを確保する程度のもの。
基本的には、
冬の間中、雪が乗っかったままになります。
屋根鉄板に『雪割り』を設けてはいるものの、
煙突表面のモルタルにヒビが入っているのは
積雪の荷重がかかってきているからかも知れません。
屋根上の積雪は、
住戸内部からの熱で徐々に融かされ、
外気で冷やされて凍り、
比重が徐々に増していきますので、
かなりの重さになります。
この数トン〜十数トンの荷重分が
構造的に考慮されているかと言えば。
既存改修の場合には
極めて怪しい。
というか、
全く考慮されていないことが多いのではないでしょうか。
既存住戸の無落雪改修の際には、
ぜひとも構造的な耐震補強も一緒に実施したいもの。
けれども「先立つもの」が無いという理由で
さしあたって現状不便がないという理由で
「屋根だけ」で済まされるんでしょうね。
危ないことではあるんだけど。
(「住宅屋根のスノーダクト」おわり)
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