2017年09月02日

レドックスフロー電池の大群を見た

安平町を訪れ、
レドックスフロー電池の大群を見る機会を得た。



ずいぶんと大きな建屋があって、


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表札が小さく見える。


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詳しくは、電力会社のページにて説明されている。




この施設の中は、
ほぼタンクで埋め尽くされている感じ。


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硫酸バナジウム水溶液を蓄えた、
1基50m3の電解液タンクが、
計130本も林立している。

だから、ひたすらタンク、タンク。


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タンクは2基1組になっていて、
1基は正電荷を、もう1基は負電荷を蓄電している。


正極、負極の溶液をそれぞれポンプでセルスタックに送り込み、
必要負荷に応じて充電・放電を行っているのである。


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見ての通り、
配管には旭エー・ブイ産業のHIVPが使用されている。

要は希硫酸なのであるから、
金属系はダメだろう。

バルブも全部、塩ビ製であった。


ポンプの材質は、訊きそびれた


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機番に「正」と入っている。
正極溶液であることを示しているが、
漢字が入っているのは珍しく感じる。

別にアルファベットじゃなきゃ使っちゃダメ
っていう法律があるわけでもないから、
設計者が使えば良いだけの話なんだけれども。




セルスタックが入れられた、
モジュール。


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セルスタック自体は特許案件らしくて、
扉を開けて、中を見せてもらうことはできたが、
撮影禁止なのである。


上部には溶液冷却のための
熱交換器が据えられている。


排熱しなくてはならないから、
それなりの排気ファンと、排気ダクト。




系統周波数の増減に追随して、
リアルタイムで蓄電池による充電・放電が行われている。


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この施設の電池は、15MW×4時間容量ということであるが、
短時間であれば2倍の出力(30MW)を出せる。


-30MWから+30MWまで、
27msecで制御できるというのだから、
優れモノである、と感じる。




風力発電の出力は、
風の吹き方如何で大きく変動する。


太陽光発電に至っては、
雲がかかるかどうかで
発電容量が100%→20%など、一気に変動する。


だから、これらの「再生可能エネルギー」を利用しようと思ったら、
何らかの変動対応設備が必須になるのだ。


太陽光など発電側でサイト蓄電池を設けてもらうのが
本来望ましいのであるが、
全事業者にそれを求めることができないようで、
となると電力会社(買取・送電を担う)側で何らかの
対応をせざるを得ない。


電力の安定供給(量、周波数とも)は必須課題なのだから。




さて、林立する溶液タンク。

当然のことながら、防液堤で囲まれている。

万一、溶液が漏れ出した際には
それを検知できるようになっている。


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建屋自体の換気設備は、
当たり前の有圧扇。


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ルーフドレン管には、
凍結防止ヒーター。


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この手の施設、
類例がないため、
消防さんも判断に苦労されたのではあるまいか。


ここでは
「大型消化器」という
判断になったようである。


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レドックスフロー電池の利点は、

・出力設計(kW)と容量設計(kWh)とを独立して行うことが可能
 → 設計自由度が高い

・大容量化が容易

・応答速度が速い

・短時間の過負荷運転が可能

・運転状態であっても充電残量をリアルタイムに測定可能

・電解液は不燃であり安全

・リチウム電池のような容量の目減りが無い

ということであった。




セルスタック内の隔膜の寿命が20年と想定されているため、
年限が来たら隔膜は全交換する必要があるだろう。




南早来は、
北海道内の電源分布の関係上、大変都合の良い場所のようである。


こういうインフラの構築は、
莫大な時間と費用と知恵とを要することであろう。


興味深いものを観ることができた。
(「レドックスフロー電池の大群を見た」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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