更地が出現する。
かつてその地に建っていた建物に隣接していた
いくつもの外壁が姿を現す。
びたびたに隣接していた時には気づかなかった、
外壁に取り付く、様々な機器、配管、ダクト、ケーブルなどが
顕になるのだ。
表の顔、ファザードは
意匠設計者にとって、
また普通の建物利用者にとっては重要なものだ。
しかるにその裏側、
隠れている部分は、
設備に関わる者にとって
まことに興味深いものなのである。
新しく建つ何かも、
やはり敷地いっぱい、ビタビタに建てるようである。
建ってしまえば、
また見られなくなる外壁の有象無象。
そういう刹那の情景を
記憶と画像にとどめておくのも
また一興。
(「更地になると、見えてくるもの」おわり)