見過ごしてしまいそう。
朽ちてしまっている住宅。
風雪の強い地域では、
住人が居なくなると数年でこのようになってしまうとか。
ひと冬、
誰も除けない雪の重みが
構造体を傷めていく。
長期荷重をバカにしてはいけない証拠だ。
積雪荷重。
法律上、地域ごとに何cmと定めはある。
あるのだが、それは最低限度の仕様なのであって、
想定値を超えて積もることは不思議ではない。
雪国の積雪状況は毎年違うのだ。
多い年もあれば、少ない年もある。
積雪然り、気温然り。
毎年だいたいの推移が一定している、
なんていうことは無いのだ。
だから、北国・雪国を訪れる際には
気を付けたほうが良い。
気候や服装など、
旅行ガイドには目安が載ってはいるのだが
決してアテにはならない。
長期、中期、短期の気象予報を睨みつつ、
持ち物を考えたほうが良いのだ。
たとえば避暑を目論んで訪れたのに
居住地より暑くなったじゃないか、とか。
たとえば紅葉がきれいな季節だと訪れたのに
一面雪野原だった、とか。
夏なのに、避暑を通り越して寒かった、
地元ではストーブをつけていた、とか。
今日は真夏日だったのに、
明日は最高気温が20℃以下になるらしい、
そんな激変が、割合普通である。
真夏のトムラウシで遭難し
凍死した(正確には、低体温症、か)高齢者グループもあった。
侮るべからず。
さて、廃屋。
集落としては、もはや消滅しているのだが、
道路その他のインフラはもちろん
機能しているし、機能を維持しなくてはならない。
路肩を整備し、
それに伴って水道施設も更新してあり、
真新しい仕切弁筺の蓋が眩しいのであった。
道路も、
水道も、
電線も、
居住人口の割に
距離が長い。
都市部に比べると『コスパ』がすこぶる悪い。
『コスパ』が悪いことは、『悪いこと』なのだろうか。
『良いこと』とまでは言えないが、
完全否定さるべきものでも無い気がする。
少子高齢化、人口減少、限界集落、老老介護、
あまり明るい話題が聞かれなくなってきている我が国の現状である。
この廃屋の如くに、
やがては朽ちていかざるをえないものなのか。
完璧でなくて良いから
適宜雪下ろしをすることによって、
とりあえず潰れてしまうことだけは避けられるものかどうか。
それさえも手が回らず、
「潰れても仕方ないもの」
「これは潰さないで残しておくもの」
峻別していかなくてはならないものか。
誰がそれを判断するものか。
はてさて。
(「ひっそりと在る、廃屋」おわり)
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