『唐津市新庁舎建設基本計画策定業務』の結果。
この基本計画に基づき、
設計業務をプロポーザルで発注しようとしたけれども
基本計画策定業務のあまりの低価格落札に嫌気が差して
他の事務所が参加して来なくなってしまった。
そういう記事(佐賀新聞)が出ていました。
競争を担保するために2者以上の参加がなければ
入札が成立しない、という規定にしていたところ、
1者しか参加が無くて、2度中止に。
もう遅れに遅れているから、
1者参加でも良いことにして決めちゃえ、
という状況になったと言います。
そりゃ、そうだよね。
「設計」って、安けりゃ安いほど良いんだろうか。
「設計業務」って、値段だけにしか価値が無いの?
(過去実績とか、前提条件はある程度付けているだろうけど)
設計に限らず、
何でもそう。
『値段』だけが、価値の全部なのか。
とりあえず以後は最低制限価格を決めたそうだけれど、
それで問題解決かと言うと、そうでもない。
最低制限価格を予定価格の80%、
とか決めて入札を実施する。
予定価格自体は非公表だったりするけれど、
だいたいの根拠(技術者の人日〜何人で何日間を要するか)は
目安として公表される。
だから予定価格がたとえば1000万円、というのが大抵わかる。
この仕事を取るためには、
最低制限ギリギリの800万円で応札するしか無い。
今は所内のスタッフが手一杯で、
受けられる状況に無い……っていう事務所は、
805万円とでも書いておけば良い。
絶対に当たらないから。
でも、「この仕事を取りたい」って思うところは、
801万円だと、他の事務所に持っていかれるし、
799万円だと、最低制限を下回るので失格となってしまう。
かくして、「うちは降りるよ」という事務所以外、
たとえば20社が、全部800万円で応札することになる。
あとは、くじ引き。
会社の優劣とか、
仕事の込み具合とか、
一切関係なし。
くじ運だけで商売の先行きが決まるのだ。
仕事を取れなくちゃ会社が立ち行かないから、
とにかくなるべくたくさんの入札に参加する。
とにかく、くじを引く。
いくら引いても、当たりゃしない。
そういう会社も出てくる。
スタッフがそんなに多く居ないのに、
期せずしていくつもくじが当たってしまった。
どうやってこなすんだ。
業務不履行はマズイから
持ち出しになってしまうけど
仕方なく外注に出す。
そういう会社も出て来る。
『適正な価格』であるとして算出された筈の予定価格では
決して受注できない。
事実上の「最低制限価格での指値」による発注。
最低制限価格が落札額になるから、
そのうち、これが同種業務の予定価格になる。
すると、更にその最低制限価格が下がっていく。
負のスパイラル。
梓設計さん、
唐津ではどのようになさるおつもりで。
基本・実施設計と、監理業務とで、
基本計画業務での持ち出し分を取り戻す?
「何がフェアなのか」
答など、無いような気もする。
でも、何らかの「目安」的な合意事項があったって
いいんじゃないかな。
(「安けりゃいいのかな?」おわり)
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