2017年06月18日

なぜ屋上がそんなに飛び出ているのか

古めのビルやマンションを見ると、
屋上に飛び出た部分があるのがわかります。



pnthusnutrkwrh.JPG


階数にしてだいたい2層分。

どうしてこんなに飛び出しているの?




今のような優秀な加圧給水ポンプが無かった時代。

公共の水道管から引き込んだ水は、
マンションの地下や1階にある受水槽に一度ためて、
揚水ポンプで屋上の水槽(高架水槽とか、高置水槽とか呼ぶ)に汲み上げて、
そこから重力で各戸に供給されました。

『高架水槽方式』の給水システムです。


kksshuskkitoz.jpg

高架水槽から水が供給される場合、
落差が大きいほど水圧が高くなります。


下の階は良いのですが、
一番上の階だと落差が少ないので
水圧も弱くなります。


屋上のすぐ上に高架水槽を置くと、
最上階の住戸ではチョロチョロとしか
水が出ません。


それで、せめて2層分の高低差を確保するために、
高架水槽は塔屋2階くらいの高さに設置されたのでした。




塔屋1階部分のスペースが無駄にならないように、
エレベーター機械室として利用されることもありました。
(水槽の下に電気モノを置くのが良いのか、という
 議論もありましょう)




でも近年は性能の良い加圧給水ポンプユニットができて、
揚水ポンプで一度高架水槽に汲み上げる、
なんてことをしなくても、
受水槽から水を引いて直接各戸に給水できるように
なりました。


高架水槽は置かれなくなり、
エレベーターも「マシンルームレス」になってきたので、
比較的新しい建物では屋上が出っ張っていないのです。


その建物が古いか新しいか、
内外装の見た目の綺麗さだけではなくて、
建物の形状そのものからも想定することができるんです。
(「なぜ屋上がそんなに飛び出ているのか」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
設備をやって4年程度の者です。色々と拝見して勉強させて頂きます。
Posted by KZ at 2017年06月18日 22:19
KZさん、ようこそいらっしゃいました。

設備は、面白いです。
古いやつは、どんどん古くなっていくし、
新しいシステム、製品、工法はどんどん出てくるし、
飽きることがありません。

ぜひ末永く、
業界を楽しんで下さいませ。
Posted by けろ at 2017年06月19日 01:16
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