屋上に飛び出た部分があるのがわかります。
階数にしてだいたい2層分。
どうしてこんなに飛び出しているの?
今のような優秀な加圧給水ポンプが無かった時代。
公共の水道管から引き込んだ水は、
マンションの地下や1階にある受水槽に一度ためて、
揚水ポンプで屋上の水槽(高架水槽とか、高置水槽とか呼ぶ)に汲み上げて、
そこから重力で各戸に供給されました。
『高架水槽方式』の給水システムです。

高架水槽から水が供給される場合、
落差が大きいほど水圧が高くなります。
下の階は良いのですが、
一番上の階だと落差が少ないので
水圧も弱くなります。
屋上のすぐ上に高架水槽を置くと、
最上階の住戸ではチョロチョロとしか
水が出ません。
それで、せめて2層分の高低差を確保するために、
高架水槽は塔屋2階くらいの高さに設置されたのでした。
塔屋1階部分のスペースが無駄にならないように、
エレベーター機械室として利用されることもありました。
(水槽の下に電気モノを置くのが良いのか、という
議論もありましょう)
でも近年は性能の良い加圧給水ポンプユニットができて、
揚水ポンプで一度高架水槽に汲み上げる、
なんてことをしなくても、
受水槽から水を引いて直接各戸に給水できるように
なりました。
高架水槽は置かれなくなり、
エレベーターも「マシンルームレス」になってきたので、
比較的新しい建物では屋上が出っ張っていないのです。
その建物が古いか新しいか、
内外装の見た目の綺麗さだけではなくて、
建物の形状そのものからも想定することができるんです。
(「なぜ屋上がそんなに飛び出ているのか」おわり)
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設備をやって4年程度の者です。色々と拝見して勉強させて頂きます。
設備は、面白いです。
古いやつは、どんどん古くなっていくし、
新しいシステム、製品、工法はどんどん出てくるし、
飽きることがありません。
ぜひ末永く、
業界を楽しんで下さいませ。