ルーフィング施工のデモンストレーションを観る機会を
いただきました。
屋上防水改修に際して
設備機器類の取外し・再取付が必要となったり、
設備機器類を新たに設置するにあたり
防水補修が必要となったり、
このところ何度か関わりがあったので。
建築工事監理指針において「最も信頼性の高い工法」とされているのは、
「熱工法」です。
最も歴史が古くて実績があり、
均一な防水層を形成でき、
低温下でも安定して施工でき、
信頼性の高い工法なのですが、
溶融釜を使うために臭いと煙が発生し、
近隣に気を遣う必要があります。
1980年代、熱工法の難点を改善するために開発されたのが、
改質アスファルトシート防水「トーチ工法」。
シート裏面の砂付側をトーチで炙り、
溶融型改質アスファルトを溶かしながら施工していきます。
しかし、トーチで炙る面が目視しづらいために
技能を習得するのに時間を要します。
炙り加減によってアスファルトの溶融具合が変わるので、
施工員の技術次第で防水層の精度・品質に違いが生じてしまいます。
溶融釜を使用しないで、
常温のまま貼り付けていく「常温工法」もあるのですが、
この場合には低温下での施工に難があります。
(接着性能が低下する)
2000年代に入り、
溶融釜を使わずに施工できる本格的アスファルト防水熱工法として、
「無釜型アスファルト防水」が開発されました。
貼り付けていくシートの裏面を炙るのではなくて、
既に貼り付けてある層の表面を炙るため、
施工面の目視が容易です。
アスファルト溶融状況がよく分かるので、
安定した施工性を得ることができます。
専用転圧工具を使用することによって、
安定した施工を、短時間で進めていくことが可能になりました。
両方の工法で、ヨーイドンで始めてみて下さったのですが、
無釜型のほうが倍くらい速いように見えました。
冬季における施工性も優れていて、
臭いや煙の発生量も少なく、
「いいことづくめ」のように説明されました。
単なる比較の問題なので、
「もっとこうなれば」
「こんなところがまだ不便」
という部分も残されていることでしょう。
そして、それらが一つ一つ
解消されていくのだと思います。
時として「ブレークスルー」を挟みつつ。
年代とともに、
次々と新しい、優位な材料や工法が開発されていき、
あらゆる面で改善されています。
ほんとに、ケンチクって、
常にいろいろ吸収する必要がありますね。
(勉強が必要ではない仕事など
無いのでしょうが)
(「ルーフィングのデモンストレーションを観た!」おわり)
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