2017年03月03日

LNG火力発電所の燃料タンク築造現場

LNG火力発電所の建設に際し、
燃料たるLNGを貯蔵しておくタンクもまた
建設されるのである。



建築における『設備』の範疇であれば、
「タンク」は置くとか据えるとか
そういう表現になろう。


しかし、だ。

発電所に供給する燃料タンクとなれば、
そんな動詞では力不足だ。

『築造する』くらいの力感を要する。


で。


正に築造中の現地を観る機会があったので
それを逃すのは忍びない。
万難を排して、行くより他はない。

などと、勿体つけている場合ではない。
単に、行きたいだけだ。
ただ、観たいだけだ。
観るのが、好きなのだ。




現地に到着すると、そこには
見学者向けに展望台(的なモノ)が造ってあった。
脚立足場で組み上げた代物である。


確かに、相手が大きいだけに
この手のモノが無いとなれば、
訪れる者皆が上方ばかりを凝視するあまり
首を傷めるに相違無いのだ。



正面に見えるのは、築造真っ最中のブツ。


lngtnkckzucu1.JPG


ここに見えているのはタンクではない。

タンク外側に構築されている『防液堤』である。


油タンク設置場所には、
万が一油が漏洩した際にも周囲に拡散しないように
『防油堤』が設けられる。

同様に、液化天然ガス漏洩事の安全策としての、
防液堤』が設けられるのである。


画像中のクレーン、作業者、脚立足場の積み上げ段数などから、
この防液堤のスケール感を幾ばくかでも掴み取っていただけるだろうか。

PC防液堤の外径は、89,600mmである。
防液堤最高部高さは、44,850mm、
タンク最高部高さは、59,716mm、と資料にある。



赤茶けた鉄板製の出入口は、
工事のための「仮出入口」である。
所謂「ダメ穴」。

ここから、作業者、監督者、重機、内部タンク用の資材等が
中に入ることができる。


この防液堤内部に、本来の『LNGタンク』を築造し、
出来上がった暁には
この開口部は閉鎖される。
文字通り「水も漏らさぬ」ようにするのだ。



上部の作業にあたる人たちは、
足場や、仮設エレベーターを上がって
上まで行く。

資材は、クレーンで上げる。


lngtnkckzucu2.JPG

脇には、
タンクの材料が並べられている。

クレーンで吊り上げられるように、
1枚1枚、吊り具を取り付けていく。


lngtnkckzucu3.JPG



このタンクの容量は、
23万キロリットルだという。

建築設備に携わる者にとっては
桁違いの容量だ。
23キロリットルでも、
大きいと思うのだ。

これが、3万リットル、
すなわち、30キロリットルであったのだ。

途方もない容量だ。

しかも、このタンクの他に、
同量のものを更に1基、築造する。


LNG火力発電所を建設しようとするならば、
燃料貯蔵にさえ、これだけの規模を要するのだ。

15年かけて、天然ガス燃料コンバインドサイクル火力発電所を
建設するという大事業である。

出力は、56.94万kWを3基。
最終的に、計170.82万kWの発電所が出来上がる。

2000kWの出力を有する風力発電用大型風車が854基分……。
想像だに出来ない。



なお隣接地には、
一回り小さな(と言っても20万KL)の
タンク(の外側の防液堤)が建っていた。


lngtnkknsighknnknj.JPG



建築にしても、土木にしても、
それに投入される技術力、知力、労力、金銭は
膨大である。


多くの人達が、何らかの恩恵に与っているはずなのであるが、
「矢鱈と金を食う無駄の象徴」
のようなイメージを持っているフシがある。


確かに、無駄な事業もある、と思う。

利権の象徴たる事業、
省庁の縄張り争いの結果予算がついた事業、
政治家の権力欲の結実である事業……。

悪意は無かったけれども、
見通しの甘さ、
費用対効果の悪さ、
関係者の未熟さなどによって
結果無駄であると言わざるを得なくなった事業もあろう。


だが、
必要な(その評価は、人によって異なることは当然だが)
事業も多いと思うのだ。



「誰にとって必要なのか」
「誰の役に立つのか」
「費用対効果は妥当か」

いろいろな評価軸があるに違いない。


そんな中で、
最大公約数的に決定していくこともあろうし、
トップダウンで決定されることもあろう。

一定割合の評価があり、
一定割合の批判があり、
かなりの割合の、無関心がある。


インフラ整備には、
そんな交々が、ぎっしり詰まっている。
(「LNG火力発電所の燃料タンク築造現場」おわり)
posted by けろ at 13:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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