建物にも表と裏があるのです。
正面玄関のように、
「いつも人に向けている部分」が表だとすれば、
「人に向けていない部分」が裏。
建物使用者の動線や、
周囲の景観などを考慮して、
建物のオモテ・ウラが決められます。
そして、「せつび」は大抵、
ウラ部分に設けられるものなのです。
建物のウラは、
側面だったり、裏面だったり、屋上だったり。
ウラを地下に押し込めてしまうことも。
人間だって、
表面上こちらに向いている部分だけでは
評価できないのです。
ぱっと見、良い印象を持ったとしても、
それだけで「良い人」認定するのは
いささか単純過ぎるわけで。
詐欺師なんて、
所見は大抵「良い人」の筈なんですから。
だから、騙される。
有名建築家の「作品」って、
オモテが評価されている場合が多いように
感じられます。
けれども、それらの作品にも「ウラ」が
あるわけ。
オモテが映えるように、
適切な、ふさわしいウラを実現していれば、
建物全体が良いものとなります。
見映えだけしか考えていなければ、
見た目は良いけど、性格がね……という存在に
なりかねません。
見た目だけ八方美人なのではなくて、
人間性を磨くことも大事(なはず)。
内面が美しければ、
多少見た目に難があったとしても
きっと悪いようにはならないでしょう。
人間は、そうなのだろうけど。
建物は、どうなのかな。
(「建物のウラ」おわり)