2016年07月08日

第三軌条を見たことがあるか?

「鉄道」というと、
普通は2本のレールがあって、
鉄の車輪に乗っかった車両が
疾走るイメージ。

「電車」だったら、
上に駆動電力供給用の電線が張ってあって、
パンタグラフから、電気を取り入れて
疾走るイメージ。

なのだが。



正式には「高速電車」を名乗る、
札幌市営地下鉄南北線は、
そんなイメージを覆す存在なのである。

di3kjhusk4.JPG

まず、走行路にレールが無い。

かわりに、コンクリートの走行路面があるのだ。
その面を転がるのは、
鉄輪ではなくて、ゴムタイヤ。


走行路から外れないように、中央に敷設された
「案内軌条」がある。

di3kjhusk3.JPG

そして、電車なのに、上部には電線が無い。
だからもちろん、パンタグラフも無い。

di3kjhusk1.JPG

じゃあ何処から電気を取るかと言えば、
走行路脇にある第三軌条から。

di3kjhusk2.JPG

「がいし」に乗っかっているので、
わかるのではないだろうか。
(ポイント部分では、途切れている)


この鉄道のメリットは、

・ゴムタイヤなので、騒音が小さい
・ゴムタイヤなので、グリップが大きく、
 加減速も良く、きつい勾配でも走行できる
・上部に架線を張らないので、トンネル断面を小さくでき
 建設コストを削減できる


デメリットもあって、

・ゴムはどんどん減るのでタイヤ交換が頻繁に必要
・他の鉄道との相互乗り入れが出来ない
・あんまり電圧を上げると危険
・第三軌条に触れたら感電する


鉄輪で第三軌条方式を採用していれば、
ゴムタイヤに関する項目は無くなる。



札幌市で最初に作った南北線はこの方式なのだが、
その後に作った東西線と東豊線は、
第三軌条方式にしていない。

確かに、トンネル断面が小さくて済むのだが、
第三軌条があるために、
線路内に立ち入った場合の感電リスクがとても高いし、
それもあって、あまり電圧を上げられない。

南北線には、直流750Vの電力が供給されているが、
電車としては低電圧。
その分、モーターのパワーも出ない。


だから、東西線と東豊線は、通常の架線を引き、
パンタグラフから電力を取っている。
それ故、東西線と東豊線は相互乗り入れ可能である。

時々、東西線を東豊線車両が走行しているのを
見ることができる。

東豊線用の車両基地は、
東西線沿いにあるので、
回送列車が通るのである。


東西線と東豊線は、直流1500Vだから、
南北線よりもモーターのパワーが出せるようだ。


ゴムタイヤではなくとも、
第三軌条方式の鉄道は他にもあるから
探してみては。

東京メトロの丸ノ内線、銀座線
横浜市のブルーライン
名古屋市の東山線、名城線、名港線
大阪市の御堂筋線ほか
国内にはいろいろあるのだ。

第三軌条自体を見つけにくくても、
架空線が無いことから
判別しやすいことだろう。



『せつび』と何の関係が……?

電気設備の一種だから……?
でも「建築の設備」じゃないよ……?


はい、そうです。

でも、地下鉄施設関連の「せつび」の仕事をすると、
その関連でいろんな事が気になるし、
気になったら訊いてみたり調べてみたりするし、
実際に見てみたりするわけで。

だって、そのほうが面白いじゃないですか。


南北線の場合、
第一軌条も第二軌条も無いのに、
第三軌条方式と呼ぶ。

なかなか面白いもんだ。


もっと詳しく知りたい方は、
Wikiでもご参照下さい。
ロンドン地下鉄には第四軌条もあるとか、
いろいろ書いてあるので。
(「第三軌条を見たことがあるか?」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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