2016年06月20日

中高年の学習には、結晶的知能の発達を活用すべし

年齢が進んできた方々は、
若い頃のような記憶力が無くなってきたと
感じることが多いのでは。

でも、だからと言って、
希望が無くなるわけじゃない。

身体機能の傾向を理解して、
その特性にあった学習方法を選択すれば、
決して諦める必要は無いのです。

(という、聞きかじりの情報です)


高齢者の健康に関する要因を系統的に調査検討するという研究を続けていらっしゃる
小海康夫教授のお話を聴く機会がありました。

一般的に、人間は年齢を重ねるごとに様々な身体機能が低下していきます。
20歳の時を100%とする、
60歳の時の腎機能は60%しかないのだとか。

そんな感じで、
いろんな臓器ごと、機能ごとに、
程度の差はあれ、
どんどんと機能が低下してしまうということなのです。

脳の機能も、当然低下していくわけで、
記憶力が低下してくるのは仕方ない……
ワタクシは、そう思っておりました。

だから、
たとえば何かを覚えなくちゃいけない。
そういう際に、
ともすると、『諦めの境地』になってしまうことも。

一所懸命に覚えても覚えても、
ザルで水を掬うが如くに、
時間をかけるばかりで何の効果も無い……
そんな悲壮感ばかりが募ることだって、
ありますよね。


ところが、です。

小海先生のお話によりますと、脳の機能のうち、

「流動性知能は、下がっていく」

けれども、

「結晶性知能は、終生発達していく」

ということなんです!


何でもかんでも低下していくばかりじゃない、というのは
有りがたい事ですよね。



流動性知能、すなわち、
今朝食べた物とか、
昨日会った人とか、
明日のアポとか、
昨夜の学習内容とか、
短期的な記憶力のようなものは、
加齢とともにどんどん衰えます。

そういう生理なのですから、
頑張れば何とかなるとか、
気合を入れれば良いとか、
物断ちをする覚悟でとか、
そういう努力でカバーできる範囲は
加齢とともに狭まっていくということになります。

それなのに、ただ
「頑張れ、頑張れ、気合だ、気合だ」
なんて励まされたって……と悲しくなったりするのです。

「100mを10秒で走れる人は、いっぱいいる。
 頑張れ。やれば出来る。
 できないのは、君の努力が足りないからだ」

若い子ならイザ知らず、
陸上トレーニング経験の無い三十路を過ぎた人に
掛ける言葉では無いように思いませんか。


それに対して、
結晶性知能、すなわち、
既知の事象を元にした判断力とか
総合的な思考の構築力とか、
さまざまな事項を適切に結晶化して
組み上げていくような能力は
低下することが無く、
訓練によって終生向上が可能である。

つまり、
中高年になってから挑む管理職試験とか
資格試験なんかに対しては、
学生時代にやったような、がむしゃらな勉強方法ではなくて、
「結晶性知能」の向上に資する手段を選択しなくてはならない。

流動性知能は低下していくんですから、
その低下の度合いを小さくする方法は取るにしても、
流動性知能の取得だけに頼った勉強をしていては、
望みは薄い、ということです。


若い時に勉強が出来た人は、
「結晶性知能」として結晶化する材料が既に豊富なので、
あまり意識しなくとも、自然に結晶化知能を発揮していくように
なるのかも知れません。

しかし、そうでは無かった人、
若い時と別の分野に取り組んでいる人は、
結晶化する材料が手元にないので、
苦労することになりますし、
流動性知能の低下に伴って、
苦労は減るどころか増すばかり、と
なりかねないわけなのですね。


中高年の方々。

若い人の『学習論』は、「それは、それ」と割り切っては
いかがでしょうか。

「かつて、若い頃にがんばった人」の『気合論』は、
適当にスルーしてはいかがでしょうか。

中高年は中高年なりの、
もっと理にかなった方法があるはずなのです。

若かりし頃とは、
別の生物になっているんですから。
同じ方法が、通用する部分もあるんでしょうけど、
通用しない面が多々あるわけなんです。


たとい、若いころサボっていたとしても、
学校で学んだこととは違う仕事をしていたとしても、
あなたが今まで生きてきた時間に
蓄積されてきた様々な知識・知恵は、
確実に「結晶化」の材料となります。

それらを思いっきり駆使した上で、
不足する材料を、低下する能力の中で効率的に摂取して、
結晶性知能として固めていきましょう。

加齢に伴って、
更に向上させることが可能である知能。

それが、『結晶性知能』です。


趣味やポリシーで流動性知能の向上に挑むのは構いませんが、
もし「試験合格」など、本来の目的が別にあるのでしたら、
結晶性知能の向上にこそ、挑みがいがあるし、
効果が上がろうと言うものです。


若い人にとっては、
ある程度我武者羅に丸暗記戦法を取るのも
脳機能が付いていけるのだから、
ひとつの方法として有り得ることです。

でもやはり、方向性としては
『結晶性知能の構築』というベクトルで進めたほうが
より効果的で、将来的にも意味のある
学習になることと思います。


「じゃあ、具体的には、
 どうすれば良い?」

当然の疑問だとは思いますが。

「○○するのが、ベスト」

なんて聞いて、その通りにしようなんて言うのは、
結晶性知能とは対極的な発想なのでは。

一人ひとり違う人生を歩んできたんです。
今までに吸収してきた流動性知能も、
積み上げてきた結晶性知能も、
一人ひとり、内容も質も違うのです。
ひとくくりに "How to" で語れるわけがありません。

だから、発想だけのご紹介。


自分にとって、
結晶性知能を発達させる方法とは。
流動性知能の低下を補う方法とは。

それらを分析し、整理し、結晶化していくと、
目指す結果(試験の合格とか)が
近づいてくるんじゃないでしょうか。

負けるな! 中高年。
(「中高年の学習には、結晶的知能の発達を活用すべし」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック