ある知人から、
「ビフォー・アフターみたいな仕事ができるね!」
って言われました。
「いえ、専門が違うので、ちょっと……」
返答に苦慮するものです。
あの番組では、盛んに『一級建築士』を強調していたので、
印象が強烈なんでしょう。
資格的には、もちろん可能なんでしょうけど、
やったことがないし、
そもそも「ああいうコト」にあまり興味が無いので
やりたいとも思わないのです。
(少なくとも、今現在は。
やりたくなるような心境の変化があれば、
その時は、やるのかも知れないけど)
「ああいうコト」をする人たちは、
それはそれで凄いと思うし、
そこで真っ当に評価されるのは
良いのでしょうけれども、
「ああいうコト」とは別の仕事をしているからと言って
貶められる筋合いもないわけで。
ああいうコトをやりたければ、
資格としては二級だって問題ないし、
主要構造部をいじるわけではない「リフォーム」であれば、
無資格だって構わないわけです。
(線引きが結構ヤヤコシかったりします)
意匠設計をやっている人にとっては、
一級建築士の取得というのが
ひとつの到達点として、
ひとつのステージとして、
大きな意味を持ったものであることでしょう。
構造設計をやっている人にとっても、
そうなのかも知れません。
設備をやっているワタクシにとっても、
簡単に取れる資格ではないし、
ひとつの到達点としての意義はもちろんあるわけなんですが、
意匠や構造を専門とする方々とは、
少々趣が異なるわけなのです。
「一級を取ってから、仕事が変わった?」
そう訊かれたこともあります。
「いえ、特に変わったことはありません」
いつも、そう返答しています。
「設備設計」って、
法律上は、建築士免許を持った人間の
独占業務なんです。
ただ現実は、
設備設計の「補助」という扱いで、
非建築士が設計(の「補助」、ね)をしている事が多い。
だから実態としては、
ワタクシがやりたい仕事は、
別に一級建築士を持っていなくったって、
出来てしまう。
ただ、法律的にスッキリしないし、
取っておくなら、それに越したことはないから、
何とか取りました。
まあ、そういうコトで。
だから、
一級を取ったからって、
仕事の内容は変わらんのです。
基本的には下請け仕事なのですが、
元請けさん側としては、
下請が一級を持っていて事務所登録をしているのと、
そうでは無いのとでは、
違いがあるかも知れません。
そういう意味では、
全く「変わらない」というわけでもないのかも
知れません。
それでも、自分の意識としては
「変わりません」
というのが、正直な所。
人によってはご異議もありましょうが、
それはそれで、その方のご意見ですから
仕方ありませんね。
(「別に匠になりたいわけじゃ」おわり)
実務は、実務。
別物だから、それでいいんじゃないでしょうか。
実務は、OJT。
やって覚えるしか無いような気がします。