大きな空間を空調する場合、
吹出口から離れた空間まで空調空気を到達させる必要があります。
そんな場所では、「ノズル」が使われます。
1・2階吹抜空間の、2階通路下にダクトを沿わせて、
横向きに吹き出しています。
この空間の上部にはどうせ人がいないから、
暑くても寒くてもどうでも良い。
主としてこのノズルから下の、
人間が活動する部分だけを空調出来れば構わない。
そんな場合、こんな感じでノズルを配置します。
展示ホールとか、体育館のアリーナとか、
2階部分に通路やギャラリーがある場合には、
ダクトの納めを考えてもやり易いですね。
高い天井の上から、真下に吹き出す場合もあります。
天井が高くなればなるほど、
吹出しの勢いを強くすることになります。
圧力を高くして吹出口の開口面積を小さくすれば、
水道ホースの先を潰したのと同じで遠くまで届きますが、
吹出し騒音が大きくなってしまう、
空調機ファンの静圧が大きくなるのでモーターも大きくなり、
電気代も嵩むようになる、などの弊害も生じてきます。
それなりのバランスを取る必要があります。
スペースや意匠の関係で壁面にノズルを並べられない、
対向壁面までの距離が結構ある、
空間全体の空気状態をある程度均質化したい、
そんな場合に、天井から吹き出されることが多い気がします。
武蔵野プレイスに行った時に、
ああ、こういう並べ方も面白いなぁと思った記憶があります。
あそこは、一般的な製品のノズルではないように見えましたが。
冷房空気は、冷たくて重たいので、下方向に行きやすい。
暖房空気は、暖かくて軽いので、上方向に行きやすい。
そのため、夏と冬とで吹出し方向を若干変えたり、吹出風速を変えたり、
調整ができるようにしておくと、効果が高まります。
そういう場合、いちいち1個1個の吹出口を調整して回るわけにもいかないので
(まあ、暇ならやってもいいんですが)
「夏モード」「冬モード」の変更を、自動制御で行う場合もあります。
これらのノズルから吹き出した分の空気は、
どこかから回収しなくてはなりませんから、
そのための吸込口を、どこに、どのように、どのくらいの個数配置するか、
ダクトを連ねてどのように空調機に戻すか、
そういったルート検討も必要になります。
静寂性を重視する施設では、
騒音レベルを計算の上、適切な消音をしなければなりません。
(「大空間用の吹出口は、やっぱりノズルかな」おわり)