2015年11月11日

『もんじゅ』に行ってみて(1)

三人寄れば……と言われます。

ワタクシは、原子力発電所の安全性に対して懐疑的でした。

福島第一の事故が起こるずっと前から、
およそプラントというモノの信頼性には限界があること、
科学技術の粋を尽くし、実際ものすごく精緻であることを考慮した上でなお、
商用発電所として長期間に亘って運用し続けるには、
原子力発電所というものは、あまりにもリスクが高く、
現代の人類の手には負えないのではないか。

そういう考えを持っていました。

そして今のところ、その考えは変わっていません。


しかしながら、凡そ『反対運動』のようなものに関わっていく
気持ちにもなれませんでした。

ただ「何か危険そうだから、反対」というのも、別に悪いことでは
ないと思うのですが、
(事業者にこそ、安全性について納得させる義務があると考えるからです)

「何がどう危険なのか」
「どの部分に不安があるのか」
「取りうるリスクについて、どのように判断するか」

そういう事柄について、考える材料が必要だと思いました。

被曝と被爆の区別がわかっているのかとか、
放射線と放射能をごっちゃにしているじゃないかとか、
α線もβ線もγ線も区別がついてないじゃないかとか、
自然界での通常の被曝や、航空機利用時の被曝とか、
医療機器による被曝とか、量的に理解していないんじゃないかとか、
そういう「原子力推進者」たちからの批判に返す言葉もないようでは
説得力ないよな、とも思いました。


本業でもないし、そんなに詳しく研究するつもりもないのですが、
それでも、ただ闇雲に反対反対言うだけでも仕方がないように
思えたのです。


それもあって、可能な限りいろんな電力施設を見に行くことにしています。

原子力
石炭火力
水力
揚水
風力
太陽光
地熱

などの商業発電所。

バイオガスやバイオエタノール、
木材、牛ふん、ペレット
マイクロガスタービンとか。

いわゆる『再生可能エネルギー』の不安定さについても、
「何とかなるはず」では、あまりに論拠不足。
それなりに(理解までいかなくとも)知った上で
考え続けていきたい。

そういう思いもあります。



個人で突然行って、ひょいと見られる所もありますが、
そうでない所も少なくありません。

業界団体や、資格者団体などを通じて、
関係者が企画したものに参加したり、
団体の研究会の立場で見学会を企画したり、
そういうアプローチを取ることで、
単なる一般向けではない技術的な説明を聴くことができたり、
担当技術職員ご参加の質疑応答の時間を取っていただけたり、
一般の見学コース以外の部分を見せていただいたりすることが
可能になります。


過日、縁あって『高速増殖原型炉』を観に行く機会がありましたので
少しご紹介したいと思います。
(データ等は、施設提供資料による)

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科学技術の粋を集め、将来のエネルギー問題を抜本的に解決できる、夢の施設。

高速増殖炉。

その原型炉として建設された『もんじゅ』。

もんじゅ1.JPG
(情報棟より撮影)

1983年(昭和58年)原子炉設置許可
1985年(昭和60年)建設工事開始
1991年(平成3年)機器据付完了、試運転開始
1994年(平成6年)初臨界
1995年(平成7年)8月 初送電
同10月 40%出力到達

ここまでは、順調に(と言って良いのかわかりませんが、粛々と?)
計画が進められていました。


しかし、初送電を行ったその同じ年(1995年)の12月、
ナトリウム漏洩事故を起こし、運転停止。

その後、施設の改善に向けて検討と手続きを進め、

2005年(平成17年)改造工事(準備工事)着手
2007年(平成19年)改造工事(工事確認試験)完了
2010年(平成22年)5月 性能試験再開
同7月、性能試験のうち炉心確認試験終了


ここで、また重大なトラブルに見舞われます。

炉心確認試験終了直後の、2010年8月。
炉内中継装置(IVTM)の落下事故を起こしてしまいます。

途中で引っかかってしまって動かず、状況把握から復旧計画を経て
実際に復旧が完了したのは2年後の2012年(平成24年)8月でした。


2012年11月には、保守管理上の不備(多数の点検漏れ)が発覚し、
2013年5月 原子力規制委員会から保安措置命令(無期限の運転禁止命令)
2014年12月 保安措置命令に対する結果報告
2015年2月 補正


結局、1991年に試運転を開始してから、1995年に停止して、
2010年に性能試験(臨界の手前まで)を2ヶ月ほどやった以外は
ほぼ20年間停まったままです。


福島第一における事故以来、原子力に対する風当たりがすっかり強くなりました。
現在は、各原子力発電所の安全審査で手一杯で、
他とは形式も目的も異なる『もんじゅ』は安全審査の基準を作ることすら
始められず、ずっと据え置かれている状態。

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敦賀駅まで、原子力研究開発機構(昔の動燃)のマイクロバスが
迎えに来ます。

もんじゅ2.JPG
まず、原子炉サイトから約1km離れた『情報棟』にて、概要の説明を
受けます。その後、模型展示などを見ます。
ここまでは、写真撮影ができます。

もんじゅ3.JPG
(原子炉の模型)

IVTMが引っかかったなんて、
かなり大変な事象であったことがわかります。
むしろ、よくも復旧に漕ぎ着けたものだと思います。

(次回へ続く)
(「『もんじゅ』に行ってみて(1)」おわり)
posted by けろ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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