2015年10月21日

寒冷地の雨樋は凍る

寒冷地では、雨樋は凍ります。

『一酸化二水素(Dihydrogen Monoxide)(略してDHMO)』という物質は、
温暖な環境下においては液体として存在しますが
凡そ0.1MPaの圧力下で絶対温度273Kを下回る環境になると固体になります。
他の物質ではあまり見られないことですが、
液状から凝固する際に体積を増加させるという物性を有します。

太陽系内においては、地球軌道よりも外側に存在する天体上で、
この物質はそれらを構成する『岩石』として位置づけられるものであります。

(なお、地球上で一般的に『岩石』と言われる珪酸化合物も、
 高温下では融解して流体と化し『溶岩』と呼ばれるようになります)


さて、このDHMO、地球上であっても寒冷地では厄介な代物となる場合があります。

夏期においては液体であるため、雨樋やルーフドレン配管などを通じて
捕集・排出することが可能です。

しかし厳冬期になると、これらはもはや液体などではなく、固体として
すなわち『岩石』として存在してしまうことになります。

折々に降り積もる岩石が建物から漏洩する熱により暫し融解した後に
周囲の外気によって冷却され固結し、密度を増していきます。

液状で僅かな隙間に入り込んでは凍結膨張することを繰り返して
配管は破れ、
雨樋は破壊され、
躯体も蝕まれていきます。

この物質、一般的な日本語では『水』と呼称され、
空気中に気体として存在し、或いは凝結して水滴として浮かび、
雨として地上に降ってきたりするものです。


雨樋やルーフドレン内が氷結する事態を避けるために、
こんなモノが使用されたりします。
排水路ヒーター.JPG

設定温度以下になると通電して氷を溶かします。
そういうヒーターです。
その温度以上の時には通電しませんので、
暖かい間は電気を食いません。

電熱線を絶縁物で覆っているとは言え、
水分に接するモノとなりますので、
このヒーターの電源を取る回路には、
漏電遮断器が必須です。

凍りそうなモノに、何でもかんでもヒーターを設けるのは
エネルギー的にも勿体無い面があります。

ご利用は、計画的に。
(「寒冷地の雨樋は凍る」おわり)
posted by けろ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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