2015年09月23日

トイレの上水と雑用水

とある洋風便器の脇。

2本の給水管から、便器に向けて給水されています。
飲用雑用.JPG

1本は、上水。
もう1本は、雑用水。

省資源の観点から、トイレの洗浄をする際に、
再生水や雨水、井水などを『雑用水』として利用することがあります。

日本では「飲むことの出来る水で、汚物も流す」という
ある意味とても勿体無い事をしています。

汚物を流すためには、飲めるような水質の水じゃなくても
いいじゃないか。

ということで、『雑用水』を利用することもあるわけです。


この写真の便器では、ロータンクに貯める洗浄水として、
井水を簡易処理(砂除去、殺菌程度)したものを使用しています。


でも、「洗浄便座」(TOTO商品名で言えば、ウォシュレット)には
飲むことの出来る水質の『上水』を供給しています。

基本的に、人体に直接触れる水は(たとい排泄口であっても)、
上水を使用します。


この写真では手洗無しですが、手洗付のロータンクに供給する
場合には、『雑用水』を使うわけにはいきませんから、
『上水』を供給しなくてはなりません。


ただし。


上水と雑用水を供給するということは、給水が2系統になり、
受水槽、加圧ポンプ、給水管などイニシャルコストが倍近く
増える事にもなります。

ですから、便所洗浄水や、草木への散水、洗車用水など、
雑用水の使用量が多くて、イニシャルコスト増を補って余りある省資源効果、
ランニングコスト低減効果が期待できることが必要です。

施主企業の姿勢として、少々のイニシャルコストアップは構わないから
『エコ』の姿勢を見せたい、という意識から採用する場合もあるでしょう。


上水・雑用水の2系統を使用する場合、
両者の接続を間違えないように気をつけなくてはなりません。

洗面器の給水管をうっかり雑用水管に接続してしまうと、
健康被害が出る恐れもあります。

また、せっかく2系統に分けているのに、改修の際などにうっかり
両者を互いに接続してしまった状態(クロスコネクション)に
してしまう危険性もあります。


・施工図の段階で良く確認しておく
・施工計画書に確認方法と施工手順を明確に記載しておく
・改修工事の際には、事前の調査を入念に行う

などの対策が必要です。

「間違って接続しないためにはどうすれば良いか」を
シミュレーションしておいたら良いですね。


設計者によっては、上水管と雑用水管の管種を必ず別にする、
という方針を取っている方もおられます。


保温外装に異なる色のテープを貼って、一目瞭然識別できるように
しておくのも一つの方法です。
(「トイレの上水と雑用水」おわり)
posted by けろ at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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