設備の配管って、見た目は単に『管』ですから、何に使われているモノなのか、
わかりづらかったりします。
それで、用途や系統を文字で示したり、流れの方向に矢印を書いたりしておくと、
後から見てもとてもわかり易いわけです。
それらのものを総称して『文字標識等』と呼んでいるわけです。
まさか『1文字いくら』と拾い出すわけにもいかないので、国交省では延床面積500uまでの空調工事なら塗装工3.13人、延床面積10,001〜15,000uの衛生工事なら塗装工4.43人という具合に、歩掛を決めています。まあ、非常に大雑把な(かつ、根拠が出しづらい)積算です。
それでも、例えば20,000uの建物ならば、平成27年度の公共工事設計労務単価(東京都)に基づいて積算すると、
文字標識等(衛生工事)
→ 塗装工25,400円/人×歩掛5.29人+その他18%=158,551円
文字標識等(空調工事)
→ 塗装工25,400円/人×歩掛30.61人+その他18%=917,442円
合わせて1,075,993円(直接工事費で)ですから、バカにできません。
これらの表示、後から建物全体をくまなく調べたり、既存の図面を見たりすれば、
何も書かなくたってわかる、と言えばわかります。
でも、設計図と実際とで配管の並びの順序が違ったり、そもそもルートが違ったり、
そんな事も少なくありませんから、直接表示しておくのが良いと思います。
ごくたまに、その表示自体が間違っていたりなんかして、却って混乱の元となる事が
無いわけでもありません。
施工者も、竣工間際は超多忙でチェックが追いつかなかったりすることもあります。
設計者、監理者、発注者など、なるべくたくさんの目で見ると、ミスも発見しやすいもの。
民間の建物だと、少しでも経費を節約したいのでかなり省略されている場合も見かけますが、先々のことを考えて、ちゃんと表示してもらうよう、監理者も気をつけていただいたほうが良いでしょう。
(内訳書を作る時には、ちゃんと項目を入れておきましょう)
「そんなにお金をかけてまで表示するようなものなの?」
……そういう疑問のある方は。
既存の設備改修計画の際に調査してみるとわかると思いますよ。
(「文字標識等」おわり)
【関連する記事】