過日、他社製の免震ゴムを使用して施工中の現場を見てきました。
既存施設を使用しながら、地下部分に免震装置を設けて免震化を図ります。
新築時ではなくて後から免震装置を取り付ける工法で、「レトロフィット」と呼ばれます。
耐震補強や建替えをするよりもコストが少なくて済む、新築更新のように仮建物に引っ越したり移転したりしなくても良いなどのメリットが大きい場合に選択されるようです。
耐震補強をしたほうが簡単で安く済むならそうするかも知れません。
補強で何とかなるレベルを超えて耐震性が不足している場合には、建て替えることもあるでしょう。
既存躯体の補強をした後、荷重を仮受支柱に移します。
既存柱を「ワイヤーソー」で切っていくのですが、音は出るしホコリは出るし、
あまり大きな塊では重すぎて取り出せないので柱を何度も輪切りにするし、
なかなか大変な作業です。
ワイヤーソーが千切れて飛んでも大丈夫なように、装置をセットしたら近くに人間が近寄らないような配慮も必要です。
柱切断後、免震装置をセットします。
装置上下にコンクリートを充填して、セット完了。
この後、免震装置を耐火パネルで覆って出来上がりです。
耐用年数はかなり長いとのことですが、大きな地震が来て変位が大きかった場合には、点検の上取替の必要性が出てくることもあり得ます。よって、将来的に交換ができるように考慮して設置します。
免震層をどの位置に設けるのが良いのか、検討が必要です。
また、既存の柱には大抵、機器やら配管やらダクトやら盤やらケーブルやら、いろんな設備モノが取り付いていることが多いもの。
それらを移設するのが結構面倒だったりします。建物を使いながら実施する工事の場合、必然的に休日や夜間の作業が多くなります。
工程管理や職人さんたちの手配、建設機械類の確保、現場技術者の体力とローテーション、いろいろ大変なんですね。
(「免震レトロフィット工法」おわり)
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