窓ガラスにはあまり断熱性能を期待できませんから、冬には冷たくなったガラス面に室内空気が触れて冷やされて、結露が生じます。
それを防ぎ暖房効果を高めるため、窓下に放熱器を置く例もあります。
この画像は、トイレブース内なのですけれども、結露とコールドドラフトの防止になるとともに、ブース内が暖かくなり、快適なレストルームとなります。
暖房便座がついていれば、ゆったり腰掛けていられますね。
ヒーター本体の奥行きを考慮した窓廻りの納まりが検討されていて、色も内装に合わせたものにしてあります。
ただし、その分ガラス面を通して熱エネルギーが外気に逃げていくわけで、電気代もその分かかります。結局『節約』のために使わなくなるという可能性もあります。使わないのであれば、放熱器を付けた意味もありません。
快適性と省エネルギーとは、大抵の場合、トレード・オフの関係。
ほどほどの快適性とほどほどの省エネルギー性とを追求するか、どちらかに重きを置くかは、オーナーさんの経済状況や建物のグレードなどにより『落とし所』が違ってくるものと思います。
オーナーさんと設計者との打合せ時点では設置が妥当だったはずなのに、運用をしていく中で「やっぱりランニングコストがかかるから止める」ということになるかもしれません。
設計者が「良かれと思って付けた」だけ、なんていう事例もあるのかも。
果たして、このビルではどのような運用をしているのでしょう。
また機会があれば厳冬期にも行ってみたいものです。
(「寒冷地の窓際」おわり)