
壁面に取り付けられた室外機が、こんな状態になっていました。
壁面の室外機が、ルーバーで隠されています。そのくせ、上の方ははみ出しています。しかも、左下側のコンクリート壁の向こう側には、実は大きなマルチエアコンの室外機が隠されているのです。空気循環の悪いことこのうえありません。
空調機の室外機は、大気との熱交換をする機械です。不用意な目隠しをした結果、熱交換がうまくいかなくなれば、本来の冷暖房能力を発揮することができなくなります。
エネルギー効率は悪くなり、無駄なエネルギー費が以後ずう〜っとかかっていくことになります。
建物とコンクリート壁の間に押し込められたマルチ室外機は、果たして要求された冷暖房能力を発揮できているのでしょうか。気になります。
お施主さんがそれらを十分に理解した上で、敢えてこのような施工を注文されたのであればまだしも、設計者の無知が原因であるならば、褒められたものではありません。
たしかに、国産設備機器のデザインは残念なものが多いのですが、だからと言って「とにかく隠せ」というのはいただけません。
設備機器のためにデザインを犠牲にしろ、とは言いません。
でも、設備機器の機能や性質を考慮した上で、デザインと調和させることが本来の『設計』なんじゃないかと思うのです。
じゃあどうすれば……?
目隠しを全部取っ払ってしまえば、設備的要求は満たされることになりますが、意匠的要求はダメになってしまいますね。
本来でしたら設計の段階で、室外機の台数と設置場所について意匠と設備の担当者間で良く相談して、意匠上も機能上も難の少ないプランを練り上げることが出来れば良かったのでしょうね。
何も考えないで「ただ隠す」のではなくて、良い方法を探っていくようにすれば、優れた建物が増えていくのではないかな、と思います。
(「目隠し……?」おわり)