2007年03月21日

錆びる。

鉄は、錆びる。

鉄だけに限りません。
およそ、金属と言うものは錆びるものです。

ひとことで「錆びる」と言いますが、いろいろな現象をひとまとめにして、こう呼んでいます。

基本的には、金属が酸化し劣化すること。

これが「錆び」。



金属が酸化する。

・・・れっきとした化学反応です。

空気中に水中に、酸素の分子は大量に存在しているのですから、そこに置かれた金属は、酷な状況にあるのです。

鉱山で採掘される金属は、みな酸化物。
(もちろん、他にもいろいろな元素と化合していますが。)

それを還元し、純度を増し、使用目的に応じて合金化し、製品としているわけでして。


物質としては、酸化されている状態のほうがエネルギー状態が低いのが普通。


水が低きに流れるように、

すべてはエネルギーが低い状態に向かって一方通行で進んでいきます。


普遍的真理と言える、
「熱力学の第2法則」。

「エントロピー増大の法則」です。



時々、

「半永久的に長持ちする○○」

などという話を聞くことがあります。

金属である以上は、「半永久的」は、言い過ぎかと思います。



営業「この製品なら、あと50年はもちます!」

設計「最初に開発されたのは、いつですか?」

営業「1985に、最初の製品を市場に出しています!」

設計「じゃあ、まだ21年しか実績がないんじゃないですか?」

営業「まあ、そう言えなくもないですが、大丈夫ですっ!」



理論上は大丈夫でも、ものごとなかなか理論どおりに進まないこともありますから。

もちろん、説明を聞いて納得した上でご使用になるのは結構です。



『錆びない』という意味の名前である『ステンレス』だって、条件次第で錆びてしまいます。

プールの手すりやタラップに錆びがついているのを見たことはありませんか?


とっても長持ちするはずのステンレス管や銅管でも、施工後数年で孔が開くこともありますんで、金属材料って難しいのです。
(もちろん、施工の良し悪しなどの問題も大きいのですが。)

ちょっとやそっとでは錆びないのは、金(GOLD)くらいじゃないでしょうか。



それじゃ、架橋ポリエチレン管やポリブテン管などの樹脂材料なら
錆びないからいいだろう。


そうですね。


多分・・・。


でも、そうではないかも知れません。
思いもよらない理由で、長持ちしないかも知れません。

・架橋ポリエチレンを好んで分解する新種のバクテリアが発見され・・・・

とか、

・ある水質、温度、応力条件が一定時間続いたとき、突然スパっと裂ける現象が発見され

とか、

・ある会社製の石こうボードに接触した面の肉厚がなぜか徐々に薄くなっていく例が見つかり

とか、今まで知られていなかった何かによって、思ったほど長持ちしないことだって、あるかも知れません。

もちろん、そんなことは無いかもしれません。


酸化反応によって多少なりとも劣化するのならば、プラスチックも「錆び」ていると言えるのかもしれませんね。


塩ビ管も、鉄のように錆びたりはしませんが、屋外で紫外線を浴びたり低温にさらされたりすると、弱く脆くなって崩れてしまったりします。

雨どいが、パリッパリになってるのを見たことありません?




「絶対大丈夫っ!」

と言い切れることなんて、この世には殆ど無いのかも知れません。

(「錆びる。」おわり。)

posted by けろ at 12:11| Comment(6) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あ、ゴメンナサイ。
弱音吐きます。

>「絶対大丈夫っ!」
>と言い切れることなんて、
>この世には殆ど無いのかも知れません。

って、言うか、
自分が錆びてます。

弱く脆くなって崩れてしまったりし、
そうです。

が、聞いて下さってありがとう。
ちょっと、すっきりしました。

って、単純です。笑)
Posted by すみ at 2007年03月25日 23:03
いくらでも、お聞きしましょう!

こちらも、かなりきてますんで・・・・・・。


ロクに勉強しなきゃ、落ちる。

これは、「絶対」なんでしょうねぇ。
Posted by けろ at 2007年03月26日 16:20
けろさん、質問させてください。
ステンレスの不動態皮膜は、下記のようですが

http://www5.mediagalaxy.co.jp/nssc/products/kiso/tu01.html

「基本的には、金属が酸化し劣化すること。」との記載から、鋼中クロムの錆(酸化)がFe(ステンレス)を保護しているようにとれるのですがステンレスの不動態皮膜は、錆なのでしょうか?



Posted by つなぎの水道屋 at 2008年04月01日 21:26
つなぎの水道屋さま、いらっしゃいませ。

> 「基本的には、金属が酸化し劣化すること」

ええと、正式な学術的な定義ではございません。
ワタクシ けろ による、個人的解釈に過ぎませんので、あまり突っ込まれるとすぐにボロがでますので。

新日鉄ページのご紹介、ありがとうございます。

このページを見る限り、「不動態被膜」は要するに「クロムの錆び」ということのように読めます。
「鉄の錆び」ではありませんが。

また、新日鉄さんはとても誠実に、
「ステンレス」を「錆びない」ではなくて「錆びにくい」
と表現され、
「ステンレスは絶対にさびないわけではありません」
とQ&Aも入れていますね。

時々、「絶対に錆びません」とか「半永久的に大丈夫です」とか大見得を切る方がいらっしゃるので、本稿で記事にしてみた次第です。

疑問点やおかしな点がございましたら、
ご遠慮なくお寄せくださいませ。
良い勉強になりますので。
Posted by けろ at 2008年04月02日 01:36
>疑問点やおかしな点がございましたら、
ご遠慮なくお寄せくださいませ。

私は、現場員ですので、初歩的な質問が、多いと思いますが、これからも、ご質問させてください。よろしくお願いします。
Posted by つなぎの水道屋 at 2008年04月02日 19:22
ワタクシなんぞは、「餅の絵を描く」立場。
餅の味や香りは、実際に作った方のほうが詳しいものです。
現場の方々のほうが詳しい事柄も多いものです。

これからも、よろしくお願いいたします。
Posted by けろ at 2008年04月03日 01:56
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