2007年03月10日

マイナスの、報酬。(1)

「ホワイトカラー・エグゼンプション」なる言葉が、
出回るようになってきた。

「残業代ゼロ法案」などと揶揄されたりもしている。
サービス残業の合法化だ、と言う人もいる。

これは、労働時間に対する対価を支払わない、というわけなのである。
労働の時間ではなく、質に対して報酬を支払うのだ、という論理である。

いずれにせよ、被雇用者側の観点ではなく、
雇用者側の論理である。


ワタクシのような自営で雇用者もいない個人事業者には、
(直接的には)あまり関係のない話ではある。



さて、「労働の質に対する報酬」ということに関しては、ワタクシの周囲にも、
少々不合理な(とワタクシが勝手に感じているだけの)事例が散見される。


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労働成果に対する報酬が、マイナスである。
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とある不動産業者。


仲介物件の賃料について、賃貸希望者と話している。

客「ここの賃料、もうちょっと安くなりませんかね。」

担当「そうですね。オーナーさんの感じだと、多少交渉の余地が
   ありそうです。」

客「では、月額賃料をあと2万円安くできるかどうか、
  交渉してもらえますか。」

担当「承知いたしました。がんばってみます。
   この物件は、交通の便がいま一つということもあって、
   借り手がなかなか決まっていませんでして。
   借りて下さるということでしたら、多少の値引きは
   してもらえると思いますよ。」

・・・・・・・

さて、この担当さんの尽力によって、月額賃料が2万円安くなったのである。

彼の仕事に対する報酬は?



不動産業者に入る仲介手数料は、賃料の1ヶ月分、というのが一般的なようだ
(半月分、というところもあるが)。

すると、値引き交渉をしなければ、業者に入る手数料収入は、
2万円多かったはずである。

担当者の値引き交渉の結果、手数料収入も2万円減ってしまった。

従って、報酬はマイナス2万円である。


借り手にしてみれば、月額2万円、年間24万円の減額を勝ち取ってくれたのだから、
プラスの報酬を支払っても良いはずの事例ではないか。


顧客のためにがんばるほど、一生懸命取り組むほど、
収益が減ってしまうのは、悲しいことではないか。


でも、仕方がない。

そのように、決めているのだから。

「報酬は、賃料の1か月分」と。

他の要素は、排除しているのだから、
その通りの結果になるだけなのだ。

接客術とか、家賃交渉の成果とか、そのようなものは
報酬とは無関係にしているのだ。
(社員の給料には、関係があるであろうが。)




「成果」を報酬に反映させるとすると。



たとえば、減額の度合いに応じた成功報酬のような仕組みを創る。

減額金額も報酬算定根拠に組み入れるのである。


当初表示の賃料の1ヶ月分の仲介手数料は、必ず取る。
交渉により減額できた分の1ヶ月分も、手数料に加える。

そうすれば、減額交渉の成果が、報酬に反映され、
「マイナスの報酬」が回避される。


逆に、仲介を依頼したオーナーから業者への報酬は、
家賃を減額せずに済むほど高くなる、ということも考えられよう。


まあ、担当の彼が個人でやっている事務所ではないから、会社全体として経営が成り立てば良い。
値引き交渉の結果収入が減っても、業務の全体で収支が合えば良いだけのこと。
経営サイドの考え方は、それでOKなのであろう。



もっとも、このような仕組みを作ると、今度は

表示家賃をわざと高めにしておいて、さも努力して
値切り交渉を成立させたかのように見せかけて
成功報酬を余分に取る

という業者も出てくることであろう。




世の中、そういうものである。


(「マイナスの、報酬。(1)」おわり。)

posted by けろ at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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