勾配屋根になっていない「陸屋根」には、たいていルーフドレン金物が取り付けられています。
どのくらいの大きさでしたか?
何個、ついていましたか?
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ルーフドレン金物の口径は、そこに流れる雨水の量によって決まります。
具体的には、
・ルーフドレン金物が受け持つ屋根面積
・建物が建つ地域の降水量記録
によって決まります。
1個の金物が受け持つ屋根面積が広いほど、大きな金物を取り付けることになります。
また、同じ屋根面積でも、雨の多い地域には大きな金物を取り付けることになります。
過去の気象データを見れば、地域ごとの時間最大降水量がわかります。
地形の影響などで局所的に多く降る場合には、それも考慮します。
塔屋階の壁面に当たった雨が屋根に落ちてくる分も、考慮します。
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では、大きな金物をどどーんと付ければ、数は1個で済むでしょうか?
理屈としてはそうなのですが、実用上はあまりお勧めできません。
金物に向かって、雨水が流れ集まってくるのですが、その際には屋根に積もっていた土や砂、ゴミ、落ち葉なども一緒に集まってきます。
往々にして、それらのものによって金物がふさがれたり、管が詰まってしまったりします。
金物が1個しかない場合、それが詰まると、屋上の水が排出できなくなって、プールのように水がたまったままになってしまいます。
バルコニーや最上階以外の庇など、普段容易に見ることのできる場所でしたら、水が溜まった様子をみてから対処すれば良いのですが、最上階の屋上ですと、気付かないままであることも多いものです。
高いビルから周囲を見ると、たまに屋上に水がたまっている建物を見かけることもあります。
そのため、特に最上階の屋上には、最低でも2個はつけておきたいものです。
万一どちらかが詰まっても、全く排水路が無い事態は避けることができますから。(防水の勾配分だけは溜まってしまいますが、これは仕方ありませんね。)
金物の口径も、計算上は小さくて済む場合でも、ある程度は太くしておいたほうが無難です。
最上階の場合には、80mmは確保したいものです。できれば、100mm。
建物の管理者が常駐していない場合には、バルコニーや庇の場合にもある程度の個数と、大きめの金物にしておけば、なお良いでしょう。
このように配慮しておけば、屋上の防水も長持ちするでしょうし、金物や配管も詰まりにくく、トラブルを少なくすることができます。
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でも、雨水管の内部には、確実にゴミやドロ、砂が入っていくものです。定期的に管内部の高圧洗浄などを考えてはいかがでしょうか。
立地条件によって異なりますが、飛来する落ち葉や砂が多い場合には毎年洗浄しなければならなくなっている建物もあります。
なお、高圧洗浄を要しそうな場合には、配管材料は塩ビ管よりも鋼管のほうが良いのではないでしょうか。
高圧によって、のり付けされている塩ビ管の継手が外れてしまうこともありますから。
洗浄まで必要ない場合でも、年に1回は屋上に上がってみて、葉っぱやドロを取り除き、草が生えていたら抜くなどして、屋上の手入れをした方がいいと思います。
「雨漏り」のトラブルが起こりにくくなりますから。
普段見ることのない屋上も、少し手入れをするだけで、長持ちさせることができます。
(「ルーフドレンの、数と径。」おわり。)
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