2006年10月27日

設備の、計算書。

ある建物で、空調改修の必要が出てきました。

設置されている設備機器類の老朽化が激しく、更新が必要な状態となったのです。

でも、ただ取り替えるのでは、芸が無い。

昔の古いシステムですから、現在の技術水準からすると、非効率・エネルギーの無駄遣いの感は否めません。

どうせ改修するのなら、より効率的で省エネルギー的で室内環境の更なる改善につながる改修をしたいものです。

まだ使える部分は極力使って、でも新旧の配管がつぎはぎでは却って良くありませんから、そのあたりの切り分けを考えて、新システムを構築していくことにしたいのです。

しかも、なるべく安価に。

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果たして、現在の熱源機器容量は妥当なのでしょうか。

現在のポンプ能力は妥当なのでしょうか。

現在の配管径は妥当なのでしょうか。

古い設計図を引っ張り出し、
何度か部分改修した際の設計図も引っ張り出し、
現在の機器運転スケジュール等を聞き出し、
温度等の測定値を収集し・・・。

規模が大きくなるほど、膨大な資料を前に悪戦苦闘することになります。

推定、憶測を積み重ねて、機器容量を決めていきます。

熱源機器が1ランク違うと、何百万円も違うのですから。
といって、目測を誤って能力不足でも困ります。
かなり慎重な検討を要します。

が、何といっても材料不足。

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こんなとき、当初設計時の計算書等が残っていると、大変助かるのです。

それぞれの機器について、どういう条件で、どのような仮定条件下で容量決定したか、はっきりわかるからです。

それを元に、現在の運転状況を勘案して、容易に判断することができます。

建設当初の読み(計算)が妥当であったとか、
読み誤った部分があるとか、
時代の変遷と共に負荷が増えてきて不足気味になっているとか、
そういうものが読めてくるのです。

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建築士法第2条では、

「設計図書」とは、建築物の建築工事実施のために必要な図面(原寸図その他これに類するものを除く。)及び仕様書を(中略)いう。

と定義されています。

いろいろ計算した結果、機器を決め、配管・ダクトを決め、図面化しておけば、「工事実施」には事足ります。

けれども、その後の維持管理・修繕においては、設計図書だけでは足りないのです。

図示されている機器を選定した根拠。

これが、とても重要なのです。


公共建物でも、設計計算書が残っているものは少ないように感じられます。

いわんや、民間建築をや。

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計算書があったとしても、その「計算」は絶対的なものではありません。

むしろ、さまざまな仮定条件や不確定要素が多く含まれたものです。

でも、何が仮定条件で、何が不確定要素であるかは、計算書が残っていないと、知ることさえできません。

ですから、残しておくことが大切です。

その後の維持費節約の検討や、システムの改善検討などに、とても役立ちます。

計算書なしで、現状調査から入るのでは、費用も時間もかかってしまいますし。

まあ、「設備設計料」なんて無いから、そんな計算なんかしてないよ、なんて建物もあるんでしょうけど。

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設備に関しては、

「図面 と 計算書」

どちらも、きちっと保存しておきたいものです。
(構造計算書だって、そうですよね。)


建物って、「とても高い買い物」なんですから。


(「設備の、計算書。」おわり。)

posted by けろ at 11:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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