2006年10月02日

鮭の、遡上

今の時期、鮭が川を遡上中です。
そう大きくもない川の岸から、川面を見ますと、
背びれや尾びれがちろちろと水面から出ています。

水中に目を凝らすと、一尾、また一尾と、遡ってきます。

少しずつ地道に、また時として一気に。


進むよりも、流れに押し流される方が多くて、徐々に後退していく鮭。


力尽きて、流されてしまう鮭。


流れのよどんだ部分には、波にゆられつ、死骸が沈んでいます。

よく見ると、あちらこちらに死骸がたゆたっていました。

先日の大雨の際に打ち上げられたか、岸にもひとつ死骸があります。


海洋で成長した鮭が、生まれた川を正しく見出して遡ってくる。

海水から淡水に入り、浸透圧が急変して、相当過酷な状況にもかかわらず、
敢えて遡ってくる。

誰が教えるわけでもなく、道案内がいるわけでもなく、
ただ、ひたすら遡り、上を目指し、そして産卵する。

この行為自体が、遺伝子情報として書き込まれているのか。
何か別の手段によって、子々孫々に伝えられていくのか。


周囲で別の鮭がどんなに死んでいようと、
ただただ遡る。


人類である自分も、鮭に見習うべきなんでしょうなぁ。

死骸の方にではなく、遡る方の鮭に。


いずれ、すべては死骸と化すにしても。


  鮭遡る 揺れる骸を 顧みず    けろ
   (のぼ)   (むくろ)


(「鮭の、遡上」おわり。)
posted by けろ at 08:49| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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