2006年09月21日

安全な水、おいしい水。

毎日飲んでいる水。

どんな水を飲んでいますか。

水道水ですか。

ミネラルウォーターでしょうか。

それとも、アルコール割り?

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「水道水は、まずい。」という方もいます。
「塩素臭いのがイヤ。」という方もいます。


でも、水道水の塩素臭いのは、仕方が無いのです。
水道法で、0.1mg/Lの遊離残留塩素が義務付けられていますから。

じゃあ、法律が悪いのかと言うと、そういうことでもありません。

「滅菌消毒」のために必要だから、行われています。


水道水の塩素などを取り除く「浄水器」を蛇口に取り付けていたら、その浄水器のところに雑菌が繁殖していた、なんてこともあるのです。


水道水が雑菌に汚染されないため、塩素が添加されているのです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「水道の水は、清潔で安全です。」という方もいます。

でも、川や湖の水を取水して、浄水して、配水管を通じて各建物に送って、各建物内の水槽やポンプや配管を通じて蛇口に至る、すべての部分で完全に清潔で安全、なんてことは難しいことです。

取水口がずいぶん汚い、と感じることもあります。

浄水場で処理された後に、配水池に貯められている水が、きたなく感じることもあります。

水槽の中が汚れていたり、ポンプがずいぶん汚かったり、配管内が錆びていたり。


でも、日本の水道水は、結構清潔で安全な方だと思います。


少なくとも、飲んですぐに胃腸を悪くしたり、病気になったりするような水道水はないのですから。


日本の水道のつもりで、外国で水道水を飲んだら大変なことも。


多くの外国の人から見たら、飲める水が水道で供給されるなんて、すばらしいことかも知れません。
飲める水で便所の汚物を流す、というのは、贅沢過ぎることかも知れません。


たとい淀川の水が原水であろうと、霞ヶ浦の水が原水であろうと、日本の水道水は清潔で安全と言えるのでしょう。


あとは、「清潔で安全」の程度をどのくらいに考えるかによりますね。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「名水がおいしい。」という方もいます。

http://www.hokkaido-jin.jp/heritage/11.html
とか。

自然の中で、長期間にわたってろ過されてきた名水。

でも、これだって、確かなことは言えません。

膨大な湧水量の中で、部分的に汚れていないことを完全に証明することなど不可能です。

「時々検査してみて大丈夫だから、ずっと大丈夫とみなす。」

それだけのこと。

でもね、やっぱり美味しいと感じますけど。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

たまに、「水道水が汚染されていた」なんていうニュースを聞くことがあります。

そういう場合、何かの有害物質が「含まれていた」ことだけを問題にしないようにしたいものです。

「どのくらいの濃度で」とか「どのくらいの量が」とか、そういう部分を気にすべきです。

マスコミで取り上げられるのは、たいてい「有るか、無いか」だけ。
読者や視聴者の関心を引き付けるべく、センセーショナルに取り上げることが多いのですが、そんなものに惑わされるべきではないのです。

例えば、ホルムアルデヒド入りのフグの話。アセトアルデヒド入りキャラメルの話。
http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/proftakeda/syoku/anshin4/index.htm

また、水道水。
ヒ素だって、鉛だって、カドミウムだって、放射性物質だって、入っている筈です。

そう。

おおよそ自然界にあるものは、全部含まれているはずです。

ただ、その濃度が濃いか薄いかだけの問題です。
有害物質を完全に無くすことは、不可能。
(検出限界以下にすることは可能でしょうが。)


「昔の水からは、そんな有害物質は出てこなかった」なんて言っても、意味がありません。

昔の測定技術では検出できなかっただけの話。無かったワケではない筈です。
現在は測定精度が飛躍的に向上したから、検出できているだけの話。


普段吸っている空気中にも、ありとあらゆる気体が含まれているのです。

鉛の原子だって、飛び回っているのです。大変僅かではあっても。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「安全な水」とは、

「飲み続けていても、たぶんそれが原因では死んだり病気になったりしそうにない水」

くらいのことじゃないかな、と思います。


「この水は、絶対安全。有害物質は一切含まれていません。安心してお飲みいただけます。」

なんて言うのは、ウソです。
うさんくさいこと、この上ない。

科学的には、ありえない事ではないでしょうか。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ワタクシは、旅先(とくに大都会)では、水道水を飲まないようにしています。

体に合わないと困るから。

実際、むかし、大阪や東京で飲んだ水道水が臭くてイヤだった、ということもあります。

出先で腹を壊すのも困りますしね。


でもそれは、「体質に合わない」ということで、「そこの水道水が汚染されている」ということでもない。

ある国で、日本人が飲んだら一発で下痢をする水でも、現地の人は何の問題も無く飲んでいる場合もあります。

清浄度は高くても、含まれているミネラル分が体質に合わないこともあります。
ごくわずか含まれている不純物に過剰に(敏感に)反応してしまうだけかも知れません。

ただ、それだけのことです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

設備に関係することとすれば、

給水設備には、
 人体への影響がなるべく少なそうな材料を採用する、とか。
 水が汚染されにくいシステムにする(クロスコネクションをしない、とか)。
 水槽の清掃はしっかり行う、とか。
 水槽に虫や動植物が入り込みにくいようにする、とか。

いずれにしても、
「絶対に」とか、「確実に」というのではなくて、
「なるべく」とか、「できるだけ」とか
そういうレベルのものだと思うのです。


(「安全な水、おいしい水。」おわり)

posted by けろ at 17:19| Comment(4) | TrackBack(1) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
けろさん、こんばんは。
お水、私、毎日何をのもうかなぁ〜って
すごーーーく迷っているところなんですよね。。。

事務所では、350MLのお水を買っていて
クリスタルガイザーだったり
アルプスの天然水だったり
アルカリイオン水だったり

で、家ではやっぱり1.5Lのペットボトルを買っていて

家(マンション)の水道水は飲みません。
きっと(絶対)受水層を通してのお水だし
名古屋のお水ってあまり美味しくない。
でも別に飲んでも、人体に影響はないよねぇ?と思いつつ・・・沸騰させてみたり・・・

逆に実家(岐阜県)に帰ると、お水は水道からジャバジャバ飲んでいます。
飲んでいるのは私だけなのですが、岐阜はやっぱりお水が美味しい。
実家も1戸建てなので、溜めてあるお水ではないからかしら・・・。

ペットボトルのお水、ミネラルウォーターを心底信頼しているわけでもないのに、買いつづけているお水・・・なんだか煮え切らない私なんですよね

(ってすごく取りとめも無い書き込みになってしまいました)

北海道はお水、美味しいですか?
Posted by Rayno at 2006年09月23日 18:33
基本的に都市部の水って、水源が川の下流部ということもあって、「まずい」と言われますよね。

大阪のなんかは、
「5回は下水処理された水を飲んでいる」
とか。

東京都も、がんばっているようではありますが。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/jigyo/syokai/03.htm

北海道では、水道水を売っていたりもします。
http://www.city.sapporo.jp/suido/c24/index.html

受水槽や高架水槽が、とくべつ汚いわけじゃありません。
定期的に掃除していれば(法的には、しなくてはならない)、ぜんぜん問題ないと思いますよ。

水槽がない直圧給水だって、結局は取水から浄水、配水、供給にいたるいろんなところを経由してきていますから、完璧にきれいなわけでもありません。

そこそこきれいで、十分なのでは。

輸入モノのミネラルウォーターだって、実際の採水場所を見てみないことには・・・。
Posted by けろ at 2006年09月23日 23:41
仕事で、東京都水道局の仕事などもさせて頂くことがあるんです。

ペットボトルに入っている水には、水質基準はない。
だけど水道水には、水質基準がある。
ということをよく聞きます。

ペットボトルの水は、水道水には含まれないミネラル分が含まれるから美味い。となるんでしょうから、
美味い。というのと、安全である。
というのは、明らかに違うんですね。

私が小さい頃の東京(といってもいわゆる都下ですが)は、奥多摩や秩父の山から沁みこんで流れてきた伏流水が、「はけ」として湧き出てきたり、水道水もそれなりに美味しかったんです。

私たちが、色んな物を水に流してしまった結果・代償としての今の「水」があるんですね。

実際に、下水処理場の排水口の下流に、浄水場の取水口があるんですから。
Posted by すみ at 2006年09月25日 13:14
そうですか〜。東京の水も、美味しかった時期もあるのですね。
大都市江戸を数百年間にわたって支えるには、水が不可欠ですしね。

「水質基準を満たしている」ということは、裏を返せば、「基準値以下なら含んでいてもよい」「基準にない物質は含んでいてもよい」ということでもあります。

「安全」を科学的に証明することは、とても難しいことだと思います。(「危険」の証明の方がずっと易しいです。)
Posted by けろ at 2006年09月26日 13:36
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック


Excerpt: 霞ヶ浦霞ヶ浦(かすみがうら)は、茨城県南東部から千葉県北東部に広がる湖。湖沼水質保全特別措置法指定湖沼。国土交通省などの行政機関においては、「霞ヶ浦」を西浦・北浦・外浪逆浦(そとなさかうら)・北利根川..
Weblog: 日本の自然を見つめる瞳
Tracked: 2007-08-07 10:28