居室の設計では、誰がどのような使い勝手で使用するか考えますね。
同じように、機械室も何が入ってどのように機能するのか、考える必要があります。
設備システムによっては、機械室に入れないで、各室の天井内や壁内に入れることができたり、一部を屋外や屋上に設置することができたりします。
機械室に入るモノは、主として【空調機器】と【衛生機器】です。
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【空調機器】
1.熱源
冷暖房の元になる「温熱」「冷熱」をつくる機器です。
温熱源(ボイラ、温水機など)→ 蒸気や温水、高温水などをつくります。
冷熱源(冷凍機など)→ 冷水をつくります。
機械室内で熱をつくらずに、他から受け入れるだけ、という場合もあります。そういう場合は、熱受け入れ用の熱交換器が入ることになります。(地域冷暖房などの場合。)
その他、下水廃熱、地中熱、空気熱などから熱を採り入れる場合にはそのための機器類が設置されます。
2.燃料
熱源が熱をつくるためには、エネルギーが必要。
そのエネルギーの元になるのが燃料です。
燃料は貯蔵したり(オイルタンクなど)、外部から受け入れたり(都市ガスなど)します。
燃料を使用せず、エネルギーを直接導入する(電気など)こともあります。
3.一次搬送
熱源機器から熱(温熱・冷熱)を取り出したり、建物内で放熱した後の熱媒を熱源機器に戻したりする循環系です。
たとえば冷温水の場合、冷温水一次ポンプとその系統の配管を指します。
4.貯蔵
蓄熱システムを採用する場合には、つくられた熱(温熱、冷熱)を貯蔵しておく部分があります。「蓄熱槽」が一般的です。開放式や密閉式があり、顕熱で蓄熱します。
氷蓄熱などのように、潜熱を利用して蓄熱することもできます。
その他、化学エネルギーなどに変換して蓄熱することも可能です。
(この場合は蓄熱というよりも燃料化というべきかもしれませんが。)
4.二次搬送
熱源機でつくられた熱を建物各所に系統別に分配する部分を、二次系と言います。
たとえば冷温水の場合には、冷温水ヘッダーなどで系統分けした後の冷温水二次ポンプとその系統の配管を指します。放熱器なども、二次系につくことになります。
用途によっては更に不凍液などに熱交換して使用する三次系を設けることもあります。
システムが小規模の場合には、二次系にポンプなどを設けないで、一次ポンプで二次循環もまかなうこともできます。
何が一番良いのでしょうか?
「一番良い」なんて、ありません。それぞれに特色があり、意味があり、理由があります。その建物の特徴・特性によって、使い分けるということになります。
5.制御
熱源機の制御、搬送機(ポンプなど)の制御、配管内の流量調整などを行う「制御系」も重要です。適切な制御を行って初めて無理なく無駄の無い設備システムが出来上がります。
制御設計は、設備設計の中で更に専門分化した部分です。施工会社も限られており、「設計施工」に近い形で出来上がっていきます。そのため、ともするとブラックボックス化しやすく、設備設計者でも内容が良くわからない事態になることもあります。まして、意匠屋さんにはなじみのない世界でしょう。
ESCOなどの事業では、この制御系を押さえることが第一歩となります。
(「機械室に入るモノ。(2)」につづく)
大変古い記事ですが、ご覧いただきありがとうございます。
この当時は、かなり解説が入った記事だったようです。
最近のものは、もっぱら感想ばかりなのですが。