(マンションの場合には、各種メーター類も入るので、メーターボックス(MB)と呼んだりします。)
普段は、なかなか見る機会が無いと思います。
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PSやダクトスペース(DS:空気を通す「ダクト」が入っているスペース)、EPS(電気のケーブルなどが入っているスペース)の面積は、統計的に「床面積の何%」というような数値があります。
けれども、それは飽くまで統計的な数値でして、実際の建物では千差万別です。
配管がたくさん入るPSは大きく、あまり入らないPSは小さく。
存在意義からしますと、本来は、それが当たり前なのですけれども、なかなか思い通りにはいかないものです。
設計のプロセスによって、PSやDSの、EPS面積の取り方がだいぶん違ってくるものです。
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【パターン1】意匠設計者が決める場合。
動線計画や部屋の間取りなど、意匠設計者がプランを練って、その過程でPSやDSを入れていきます。
ゾーンごとにそれなりにPSやDS、EPSを描くわけですが、えてして「余ったスペース」があてがわれるものです。
設備のシステムが決まらないと、入る配管の本数やダクトの太さは決まらないモノ。
でも、あまり大きくない建物なら、配管も細いし本数もたかが知れてますから、何とかなります。
そして、こういう建物の場合には、そもそも設備の設計など行われないことも多々あります。
工事業者さんの下請に入る設備屋さんや電気屋さんが考えて、それなりに工事していきます。
このパターンの場合、狭すぎるPSや、使い道のないPSが発生することもあります。
そうなるかどうかは、担当する意匠設計者の力量にかかっています。
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【パターン2】意匠設計者が設備設計者と相談して決める場合(1)
実施設計プランがほぼ出来た頃、意匠設計者が設備設計者にPSやDS、EPSの位置と大きさについて意見を求めます。
具体的なプランになっており、予算関係もだいたい見えてきているため、おのずと設備システムが限定されてきます。PS・DS・EPSの大きさも、ある程度想定できます。
それで、狭いから拡げて欲しいとか、こんなに要らないとか、意見を述べるわけです。
ただし、この時点ではなかなか要望どおりにはならないものです。(特に拡げる場合は。)
意匠的には、建物の目的にかなった、かなり理想的なプランになっているのですから、今更PSを拡げたりしてプランを崩すのは難しいことです。
柱の脇に小さな配管スペースを作ったり(「柱型をふかす」と表現します)、建具や家具をちょっとずらしたりして、ある程度のスペースを捻出することになります。
一般的には、このパターンが一番多いように思います。
設備システムがある程度パターン化されているような建物で、意匠設計者がその用途の建物に慣れている場合には、かなり適切なPS、DS、EPSが出来上がります。
設備システムがパターン化していない種類の建物だと、意匠設計者の設備的な素養によって、良し悪しが決まってきます。
「これだけしかスペースが取れないから。」
と意匠設計者から言い渡されて、空調衛生設計者と電気設備設計者とでスペースの奪い合いになることもあります。(現場では、施工者どうしで改めて奪い合います。)
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(「パイプシャフト。(2)」につづく)
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