2006年08月15日

生体模倣設備(2)

(「生体模倣設備(1)」からの続き)

設備が、生き物のからだのようであったなら。

一箇所の搬入口から、水と原油を供給します。

原油を入れながら、ちょびちょび水も入れる、なんていう具合で十分です。
万一質の悪い原油が入っている場合は、センサーで検知できますし、いよいよとなれば搬入口から吐き出すこともできます。

建物内で、自動的に原油を精製し、必要な燃料成分に分離します。
燃料成分を取り出した後の不要物は、排出口から建物外に排出されます。
この不要物は、自然環境中で適切に分解・分別され、他の建設工事に使用されます。
完全リサイクルシステム。ゼロエミッションです。

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水と燃料成分は、循環配管中に注入されます。


循環配管は、すべての部屋に張り巡らされているので、必要な部屋で必要なだけ水を使用することができます。

排水は、また循環配管に戻されます。しかし、その排水が他の部屋に悪影響を与えることはありません。

飲料水、雑用水、雑排水、汚水、ゴミを、すべて混ぜ込んで、同じ配管で運ぶことができるのです。

ポンプは、異物通過能力が極めて高く、逆流防止機構が内部に備わっています。


燃料も、必要な部屋で使うことができます。
大きな熱源室は必要なく、建物各所にある個別分散化された熱源で、エネルギーが造られます。
全部屋が、年間を通じてほぼ一定の室内空気質になるように、適切に調節・分配されます。
建物全体で大きなエネルギーを必要とする場合には、各所で多くの熱が造られ、必要箇所に送られます。

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換気口からは、外気が取り入れられます。
外気中の酸素は、循環配管中の液体に溶け込み、各室に運ばれます。
各室に入ると、酸素が遊離し、適切な換気が行われます。

燃焼で生じた二酸化炭素や汚れた成分は、同じ循環配管中の液体に戻され、溶け込みます。
これらは、循環配管によって換気口まで運ばれ、気体に戻って外気に排出されます。

循環配管の管壁は、必要成分のみ通過させることができる機構が備わっています。


給排気を交互に行うため、ファンは1台でOKです。
このファンは24時間換気機能がついており、最低換気量が確保されるようになっています。

各室で酸素要求量が多いときには、自動的に給排気量が増え、循環ポンプ流量も増えます。


単一系統の循環配管に、すべて建物に必要なものが封入されています。

給水、排水、冷温水、給気、排気、燃料、メンテナンス、セキュリティ、ゴミ排出など、すべての要素が、たった一つの循環系で行われます。


循環配管中の排水やゴミは、除去装置によって配管中から取り除かれ、建物外に排出されます。


そのため、循環ポンプは1台のみで用が足ります。
流量や揚程は、自己調整されます。配管の伸縮によっても補完されます。
長寿命なので、予備を置かなくても良いくらいです。

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この循環配管は、建物の増改築や間仕切り変更に応じて、自己延長されます。
建設資材自体、この配管系を通じて運搬されるので、特別な搬入経路は不要です。
配管口径も、要求に応じた最もふさわしい口径に自動調整されます。
管壁が劣化した場合には、順次自己修復されます。

異物除去システムが整っており、建物に入る際に自動認証が行われ、建物内の住人に危害を及ぼすような不審人物や有害物質が入らないように守られています。


もし、「光合成システム」を取り入れれば、原油も不要になります。
太陽光を受けて、水と大気中の成分、地中の成分から、燃料を自力で合成・貯蔵できます。


こんな「設備」が実現できたら、おもしろい(ある意味、気持ち悪いかも)と思いませんか?


新しい建物を、生み出したりなんかして・・・。


(「生体模倣設備(3)」につづく)

posted by けろ at 12:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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