2006年08月08日

給水管

設備には、いろんな配管が使われています。

中を流すものの種類や用途によって、
強度や寿命によって、
価格の安さ、施工のしやすさによって、

など、いろいろな要素で、配管の種類を決めていきます。



たとえば、給水管。

飲んでも大丈夫な水を運ぶ管には、衛生的であることが求められます。
生物学的にも(ばい菌の繁殖がしにくい、とか)、
化学的にも(有害物質が溶け出さない、とか)、
強度的にも(供給される水圧に耐える、とか)、
安全であることが必要なのです。

1年や2年でダメになってしまうようでも困りますし。

地中の水道本管から引き込む管には、更に、「土に埋めても大丈夫(外側の土の圧力にも耐える、土の成分がしみこまない、土によって劣化しにくい)」という性質も必要になってきます。


こういった条件さえ満たせば、何でもいいわけですが、水道事業者の配管から直結される部分の場合には事業者が材料を指定するのが普通です。

昔は、ただの鉄パイプや、亜鉛めっき鋼管などが使われました。
当然、徐々に錆びてしまいます。

条件が悪いと、急激に錆びて穴が開くこともあります。


その後、鉄パイプの内面を塩化ビニルなどで覆った、ライニング鋼管などが製品化されました。

あとは、銅管、ステンレス鋼管、塩化ビニル管、ポリエチレン管、ポリブテン管、などなど。


地中の配管は、鋳鉄管や塩化ビニル管、銅管、鉛管、ポリエチレン管などなど。

管の材料が違うと、接続方法支持方法が違ってきたりします。

違う種類の金属を接続する場合などは、特に注意が必要です。
直接触れ合わせると、弱いほうの金属が急激に錆びてしまいますから。

むか〜し、化学で習った、「イオン化傾向」、あれです。
「貸そうかな、まああてにすな、ひどすぎる借金」


どんな材料を使っても、やがては劣化し、取替が必要になります。
だから、長く使う建物の場合には、給水管の取替えを前提にしたつくりとしたほうが良いのです。(ほとんど、考慮されていませんがね。)


バルブは、銅合金で作られているものが多いのですが、合金を作る過程で、鉛を使いました。それで、一昔前のバルブには、鉛が含まれています。

つい最近です。「鉛レス(含まないということ)」のバルブが出てくるようになったのは。


川から取り入れた水。

浄水場を経て、長いなが〜い水道本管を通って、さらに建物内の水道管(場合によってはタンクやポンプ)を通じで出てくる水。

飲んでも大丈夫」な日本の水道水は、とても質の高いものです。

(とは言え、高架水槽内でネズミの腐乱死体が浮かんでいても、飲料水として使っていた事例も、ありますけれど。)

水の貴重な国々の人にとっては、
「飲める水を便所で流す」
というのは、驚きの現象でしょうね。


良い材料を使い、
水質検査をきちっとやり、
基準にのっとって施工を正しく行い、
はじめて安全な水を飲むことができます。

給水管は、それを運ぶ、大切なライフラインです。

(「給水管」おわり)
posted by けろ at 14:38| Comment(6) | TrackBack(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
けろさん、こんにちはー。
【貸そうかな、まああてにすな、ひどすぎる借金】
なつかしぃ〜〜〜!と思わず叫んでしまいました。
「まああてにすな」の部分とか。グッとくるものがありますね(笑)

配管はほんと当たり前の事を丁寧にしていけばいいものだとおもうのですが・・・
施工図が出てビックリだったり(配管図がキタナイとやっぱりおかしな配管だったりしますよね・・)
監理へ行ったら継ぎ手が逆だったり!
おぉぃ・・・大丈夫かぃ?ということもタマーニあって愕然とします。

雨水に関して、もっともっと利用できたらいいのになぁ〜と私は個人的には思います。
個人住宅系だとまだタンク(のようなもの)で貯めてポンプアップ、、、というようなものしかないんでしょうか?
Posted by Rayno at 2006年08月08日 20:50
こんにちは。台風、大丈夫でしょうか?

> 配管はほんと当たり前の事を丁寧にしていけばいいものだとおもうのですが・・・

はい。
配管に限らず、すべての施工も、設計も。
「当たり前の事を丁寧に」
これが意外に難しかったりしますね。

継手をチェックしているなんて、エライ!です。
その勢いで、特定設備建築士も取っちゃいましょう。

雨水利用は、「コストをかけない」ことが利用促進のカナメかなと思っています。

あっちい。本日の仕事場、38℃。
Posted by けろ at 2006年08月08日 21:52
けろさん、期待どうり面白い記事有難うございます!!
モリブデン鋼管とか、クロムモリブデン鋼管って、(大昔の)自転車のフレームにも使っていて、当時はちょっとしたステイタスだったんですよ。今はファイバーですからね。マテリアルも日進月歩。ですね。
Raynoさん、個人住宅規模だと「天水尊」っていう雨水貯留漕がありますね〜、小さなミュージアムの雨水利用で使ったことがあります。
http://www.rainwater.jp/kigyo/usui.html
Posted by すみ at 2006年08月09日 13:23
すみさん、こんばんは。

クロムニッケルモリブデン鋼(SUS444)は、貯湯槽などに使われています。
給水管に使われるのは普通のクロムニッケル系の18-8ステンレス鋼(SUS304)です。

天水尊、いいですね。
住宅などでは特に、シンプルなのに限ると思います。

当地は、7日連続の真夏日。多分明日も。
去年は、2日しか無かったのに・・・。

【追記】2008.4.3
SUS444には、ニッケルが含まれておりませんでした。
すみません。
Posted by けろ at 2006年08月09日 20:43
けろさん、質問させてください。

>クロムニッケルモリブデン鋼(SUS444)

http://www.jssa.gr.jp/point/nature.htm
http://www5.mediagalaxy.co.jp/nssc/products/kiso/tu02.html

ニッケルを含むものは、SUS300番台だと思うのですが、どの様なものでしょうか。
Posted by つなぎの水道屋 at 2008年04月02日 23:37
すいません。

SUS444には、ニッケル、入っていませんね。

ご指摘及び資料のご紹介、ありがとうございました。
Posted by けろ at 2008年04月03日 02:12
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