2006年08月06日

冷房が、効かない。(2)

(「冷房が、効かない。(1)」からの続き)

セカンドミッションは、同じ階にある別の部屋。

勝手に見て調べて下さいとのことでしたので、脚立を担いで移動。
この2室には、今日はお客さんがいないとのこと。


和室10畳の客室。この部屋の冷房も効かない、と。

スイッチオン、出力(うそ。風量)最大。
エネルギー充填120%。
ファンコイルユニット、発進! (わかります?)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

吹出口からは、風がしっかり出ています。

それなりに冷たいと思うのですが。

ただし、風量はさっきよりも少ない。そもそも、吹出口の大きさがさっきの半分。2畳分しか違わないのに?


同じように点検口を開けます。今度は10円玉。

銘板が、見にくい。
どうした、代人さん!さっきのはフロックか?

まあでも、バルブ操作には支障ありませんね。
配管ワークもしっかりできています。配管屋さんも保温屋さんも、責任をしっかり果たしていますよね。

バルブは・・・全開。ちゃんと開いています。
コイルも冷たくなっています。ちゃんと冷水来てます。

天井内に体をつっこんでも銘板がよく見えないので、デジカメを持った手をつっこんで、乱写。何とか1枚、型式がわかるモノが撮れました。


メーカー型番を見てびっくり。

さっきの部屋の3分の1の能力しかありません。
たしかに、さっきの部屋は西向き。この部屋は東向き。
夕方から泊まるお客さんのことを考えると、西部屋の方が能力が大きくてもうなずけます。
けど、3分の1は、いくらなんでも。


でも、とりあえず、機能しています。
だから、「単に足りない」ってこともあり得ます。
だとしたら、厄介。
天井ぶっこわして、取り替えるハメになります。


吸込口から吹出口に至る経路も、ファンコイルユニットの小ささに比べると不釣合いに長い。余計風量が減りますね。

意匠屋さんに、吸込口位置を妥協させられたか?
ほとんど誰も気にしない吸込口位置なんて、こだわってもしょうがないのに。
機能しないことの方が余程困るでしょうに。

とか、ぶつぶつ(心の中で)つぶやきつつ。


あとは、フィルターが目詰まりしていて風量が低下しているとか、ダクト内に堆積したほこりがファンにからみついてファン能力が低下しているとか、それら複合要素でファンのモーターがいかれてきているか。

可能性はいろいろ考えられます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

地下機械室に下りて、もう一つ検証。

吸収式冷凍機(吸収剤は臭化リチウム(LiBr)水溶液、冷媒は(H2O)。覚えてます?)は、ちゃんと動いてるみたい。

冷水ヘッダー温度圧力をチェック。変な数値ではない。
(還ヘッダー温度計指示値が変だけど、他系統温度計を見る限りOK。)

系統チェック。客室はまとめて1系統になっている。
てことは、全室同じ条件の冷水が、ちゃんと行っているわけだ、と。

客室系統の行き還り温度差OK。教科書どおりの指示値。
客室系統の循環ポンプの圧力も電流値(これは動力盤で確認)もOK。


ということで、機械室内はひとまず大きな問題はなさそう。
(20年以上経過して「古い」ということを除いては。)

水漏れしていた熱交換器は、この前交換したし。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

客室系統以外の系統も、問題なく効いているみたい。

となると、2つ目の部屋の件は、能力不足あるいは風量低下くらいしか、原因が思い当たらない。

で、報告。


「かくかくしかじか、こういうわけで、1つめの部屋は解決したと思います。」
「かくかくしかじか、こういうわけで、2つめの部屋は、元々の能力不足か、風量低下が考えられます。」

絵を描いて、説明。

「この部分のフィルターを掃除してみるのが、まずできること。それでダメなら、ファンのほこり清掃(ちょっと難しい)ですね。それでダメだと、部品交換、更には機器交換、と大きな話になってきてしまいます。」


じつは、この施設には、設備メンテナンスの会社がはいっています。
現在は不在時間帯ですが、必ず毎日一定時間滞在している。
彼らの方が道具や工具を持っているので、清掃をお願いしようと言う魂胆です。

(契約上、それが彼らの仕事。というか、こうやって調べて対処すること自体が、本来は彼らの仕事なんですが。大体、なんでバルブ閉鎖に気付かない?)


まあ、ともかくも、セカンドミッションは分析だけして終わったのでした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

建築士法チェック。

構造 : RC造 地下1階、地上2階、塔屋1階建
延面積: 約4,800m2

第3条第1項第3号、第4号および第2項により、
この施設は一級建築士でなければ設計工事監理をしてはならない。

けど、部分的な改修なら、この規定には、引っかかりませんね。
調査、アドバイスなら、「設計」でもないし。

いわゆる「コンサルタント業」ですねぇ。

けど、第23条では、建築物に関する調査若しくは鑑定を報酬を得て行う場合には事務所登録が必要。一応、二級の事務所登録はしてるので大丈夫なのでしょうか。23条には木造以外には構造・規模に関する記載がないのですが。


う〜ん。特定中身パン士(「餡(あん)職人の憂鬱」参照)になるまでは、
こういう仕事でメシ食わねばならないでしょうかね。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

12195 ファンコイルユニット方式は、個別制御が容易であるので、病室や
     ホテルの客室の空調に用いられることが多い。(→ この記載は正しい)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(「冷房が、効かない。」おわり)
posted by けろ at 00:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「冷房が効かない」面白く読まさせていただきました〜、有難うございます。
次回も、期待してます!!!
Posted by すみ at 2006年08月07日 19:53
すみ さん、お読みいただきまして、ありがとうございます。

出来たばっかりのときも、古くなってからも、設備関連のトラブルは、いろいろあります。

シンドラーエレベーターも、パロマ湯沸器も、流水プールも、みんな設備のトラブルですよね。

頻繁にメンテナンスを要するのも、設備。
トラブルを未然に防ぐ技術と知恵が必要です。
Posted by けろ at 2006年08月07日 21:31
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック