2006年08月05日

冷房が、効かない。(1)

北国も、短い夏の真っ盛り。
仕事でお付き合いのある宿泊施設の方から、電話が。

「客室で冷房が効かないんです。メンテナンスの人に見てもらってもわからなくって。」

それで急遽、見に行くこととなりました。


ワタクシは、設備設計を業としている者ですので、何か故障があったからといって、修理したりすることは出来ません。
工具もあんまり持っていないし、技能なんてこれっぽっちもありません。(いつか修行を受けたいんですけどね。)

けど、とりあえず現状を把握しないと何ごとも言えませんので、まずは見に行ったわけです。

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和室12畳の客室。この部屋の冷房が効かない、と。

ファンコイルユニットのスイッチを入れますが、確かに出てくるのは普通の温度の風。

「冷たくないですよね。」

施設の方がおっしゃいます。

「効かないってクレームがあって、部屋を替わっていただいたりしたんです。」

あらまあ、それは施設にとっては死活問題ですよね。

「では、わたしは業務があるので・・・。よろしくお願いいたします。」
と戻って行かれました。


出てくる風が冷たくない、ということは、冷やす部分に問題がありますよね。

このファンコイルユニットは天井内埋込形ですので、天井点検口をまずは開けてみます。
けど、脚立を持ってきていないので、ひとまず地下の機械室に下りて行って、その辺においてある中から丁度良い高さの脚立をお借りして、また戻ってきます。

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財布の中から、今日は奮発して100円玉を取り出し、点検口を開けます。
(いつもは10円玉。)

丁度見やすい位置に、機器銘板、ドレンパン、接続配管及びバルブが。

「いい仕事してますねぇ〜。」

こういうところって、意匠屋さんは監理しない事が多いですから、きっと設備の現場代人さんが誠実にきちっとやったんでしょうねぇ。

だいたいもって、このような細かい内容は、「設計」ではあまり具体的に決まりません。監理者と施工者のチカラにかかっています。
設計する人と、施工する人と、監理する人。
それぞれが分を果たして、良いものが出来上がるわけですね。


ライトは持って行きませんでしたが、宿泊施設ですから大丈夫。
ちゃんと各室に常夜灯が用意されています。


で、冷温水コイル接続部に触ってみます。
軍手は持って行きましたけど、軍手をしてては温度がわからないので、素手で。


ちいとも冷たくありません。

「あれま、冷たくないじゃん。」

冷温水コイルに冷水が流れていませんね。それじゃ冷えません。

なぜ、流れないか?


ざっと考えると、

・冷凍機が故障していて、冷水がつくられていない。
 → そりゃ、一大事です。ちょっとやそっとじゃどうにもならん。

・冷水循環ポンプが故障していて、冷水が流れていない。
 → これも、おおごと。

・冷温水管が錆などで閉塞していて、冷水が流れていない。
 → でも、ちょろちょろでも流れていれば、コイルが冷たくはなるはず。却下。


まあでも、一番ありがちなのが、

・メンテナンスの後に、接続バルブの開け忘れ。


「どれどれ。・・・・あれま、全閉。」

行き還りのバルブとも、しっかりと閉めてありましたとさ。


バルブを開けると、流水音がしてきます。

すぐに、冷温水コイルが冷たくなってきました。

吹出しの風も冷たくなってきました。


ファーストミッション、完了。


でも、良く今日までこれで過ごせましたねぇ。
むしろ、それが驚き。


で、セカンドミッション。


(「冷房が、効かない。(2)」につづく)
posted by けろ at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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