トイレの便器の配置を変えたい。
ということになると、便器の配置に応じて給水管や排水管の位置を変えなければなりません。そのときには、あらたに床に穴を開けることになります。
ダイヤモンド微粉のついた円筒の刃を回転させると、コンクリートにきれいな穴を開けることができます(これを「はつり」といいます。)。通す管の太さに応じた大きさの穴を、開けていくことになります。
床って、穴を開けても大丈夫なんですか?
気になりますよね。
本来、そこのところを気にしなければならないのですが・・・。
そうなんです。
大丈夫な場合もあります。
でも、大丈夫ではない場合もあるのです。
大丈夫ではない場合とは・・・?
重要な鉄筋を切ってしまう場合。
鉄筋は、むやみに入っているわけではありません。
建物にかかる力を地盤に伝えるために、建物の強度を保つために、重要な役割を果たしています。
建物の強度は、ある程度の余裕を持ってつくられているのですが、力の伝達上重要な鉄筋を切ってしまうと、強度がガクッと落ちてしまいます。
それに、鉄筋はつながっていてなんぼのもの。引っ張られる力に対抗するために入っているのに、それを切ってしまっては、本来の能力を発揮できません。だから、むやみに切るべきではありません。地震の際には切った部分に力が集中してしまい、壊れることだってあるかもしれないのですから。
コンクリートも、圧縮力を負担している重要な構造部材。その寸法は、部材にかかる圧縮力に耐えられるように決められています。穴を開けるということは、その分強度に影響が出るわけです。
床だけではなく、壁、時には耐震壁、梁、柱(!)にまで、不用意に穴を開けてしまう例も、ときどきあるようです。
近畿のとある公営住宅で、各住戸外壁に換気新設用の穴をあけることになり、業者に発注して片っ端から「はつって」いったのですが、何を思ったか壁だろうと柱だろうと関係なしにどんどん穴をあけたため、建物の強度がダメになり住民退去となったというニュースもありましたね。
改修工事だけではなく、新築工事においても、穴を開け忘れた部分をあとから
「はつる」ことがあります。
「穴」は、開けられる場所と大きさに注意が必要なのです。
「危険な穴」は、あけられていませんか?
(「その穴、危険!(3)」につづく)