構造強度が基準を満たしているかどうか計算を頼みたいけれど、
「構造図が、無い!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
構造図がない場合、計算をしようと言っても大変です。
(と言っても、ワタクシは構造計算をしたことはありませんが。)
また、たとい図面があっても、正確でなければ、せっかく計算しても「机上の空論」になってしまいます。せっかく費用をかけても、実際の強度とは異なる、架空の計算をしただけに終わってしまいます。
図面どおり建築されているか、工事監理記録や写真、検査記録などがあれば良いのですが、図面さえ無いことが多いのですから、そんなものが残っていることは考えにくいですね。
超音波やX線を駆使して鉄筋の太さや本数を割り出し、図面化して・・・なんてことになると恐ろしい金額の費用がかかってしまいます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「設備図が、無い!」
となると、配管を取り替えたり、修理したりする段になって、苦労します。配管なんかは、たいて天井の中、壁の中、床下に隠れていますから、探すのも一苦労です。
いろんな用途の配管がありますが、外観はただの管。建物規模が大きくなるほど、それが何を流すための管なのか、見分けがつかなくなります。
機械室の中などでは、見てわかりやすいように流す液体の種類(給水管、給湯管、冷温水管、など)や系統名(事務室系統、共用系統、など)が表示してあることが多いので、大体わかります。でも、天井内や床下、パイプシャフト内になると、表示していないことが多いようです。(たまに、表示が間違っていることもありますし。)
コンクリートや土の中に埋まっている部分なんて、さっぱりわかりません。
作ったが最後、二度と手を触れることのできない部分に配管を埋めてしまっていることも珍しくありません。そういう配管が腐食によって破れてしまった場合、しばらく気付かず、気付いても手の施しようがない、ということにもなります。
「図面は無いんですけど、排水管がかなり傷んでいて流れが悪いようなので、取り替える工事をして下さい」なんていう無茶な工事依頼を出す方もいます。一軒家くらいでしたら、それでもいいのでしょうが、ある程度の規模の建物やマンションになると、「開けてびっくり、玉手箱」状態ですね。
調べながら、工事しながら、驚きながら、悩みながら、調整しながら、修正しながら・・・。
たいてい、予期できなかったトラブルに見舞われます。
そういう場合は、まず調査し、設計してから、工事をお願いしたほうが、ずっとスムーズに、確実に、良い工事ができるはずです。
(「図面が、無い。(5)」につづく)