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一般の方には、なじみが薄い「設計料」。
お米や牛乳、卵の値段ですと、普段から見慣れているので「相場」がわかりますが、設計料は普段あまり見ることがないので、さっぱりわからないですよね。
なじみがないからこそ、「高い」と感じる方も多いようです。
あるWEBページで、「設計料の目安」を載せている設計事務所がありました。
こういうページがあると、何社か見比べて、「ああ、このくらいか」と心積もりもできますね。
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でも、ちょっと待ったぁ〜〜。
そのページの目安は、概算工事費に対する「設計監理料率」でした。
例えば、
概算2,000万円の住宅なら、設計料は10%(つまり200万円)とか、
概算1億円のホテルだったら、設計料は6%(つまり600万円)とか。
ということは、本来5,000万円くらいかかりそうな建物を、設計者の技術と経験を駆使してコストをおさえ3,000万円でできるような設計をした場合、本来10%の500万円の設計料を受け取るはずだったのに、それが300万円になってしまうのです。
つまり、設計者の技術・経験により2,000万円を削減したことに対する報酬は、マイナス200万円!
能力のない設計者が、お金のあるお施主さんに高価な材料を勧めて、コスト管理をしないほうが儲かるわけですね。
・・・それって、変だと思いませんか?
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実は、上の「目安」も、飽くまで「目安」でして、「実際の案件によってご相談」となっていますので、決して変ではありません。
お施主さんによっては、設計料が1万円か10万円か100万円か、さっぱり見当もつかない方も多いので、だいたいの目安は必要なわけです。
そもそも、「建築」というものは一般の工業製品と違って、単品限定生産品です。そしてその設計という行為も単品限定ですから、一概にいくら、と言えないものなのです。
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「設備」にも、設計料は存在します。
ワタクシは、それでメシを食っていますんで。
じゃあ、その目安は?と言われると、これまた難しい。
意匠設計の場合、坪あたりいくらとか、m2あたりいくら、とか聞くこともありますが、設備設計の場合には床面積に単純に比例しません。
目標とする環境条件によって、実際の作業量がぜんぜん違いますので。
ですから、ワタクシの場合、案件の概要をうかがって、実際にかかりそうな手間、時間等を勘案して、案件ごとに見積を出しています。「これが正解」という設計料なんて、存在しないと思っています。
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「『設備設計』なんて、頼んでないよ。」
と言う人もいます。まあ、戸建て住宅規模でしたら、水道屋さんが経験で配管すれば十分かもしれません。でも、ある程度以上の規模になれば、「設備設計」は必要ですよ。
(意匠の)設計事務所の中には、設備設計は「設備工事業者」に頼んでいるところもあります。工事業者は、営業の一環として、サービス(無料)で設計してくれたりします。それはそれで、しっかりした所が設計すれば良いのですけれども、ワタクシは「何だかなぁ」と思います。
てことは、意匠設計も、建築業者にタダでお願いすればいいんじゃないの、と。ま、実際に「設計施工」というものもあるわけですが。
とは言え、設計事務所も企業ですから、なるべくコストをかけたくないのは当然。あとは、設計を依頼するお施主さんの考え方次第です。
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意匠屋さんから、よく聞くんです。
「いやぁ〜〜っ、設備はさっぱりわかんなくてさぁ。」
でも、建物である以上、「設備」だって、なくてはならない存在ですよね(犬小屋は除く)。
設備設計屋としましては、
「モチはモチ屋と言います。設備は設備屋へ!」
と、遠慮がちに言うのみなのです。