材質について、性能について、断熱材の位置(外・内)について、
気密性について、通気性について、透湿性について、通気層について、
耐火性について、経済性について、施工性について、確実性について、
生産時における環境負荷について……。
何が本当に正しいのか、見つけ出すのが難しいと感じます。
見分け方があるとすれば、普遍的に成り立つ物理法則に整合しているかどうか。
イメージと必ずしも一致しているとは限りません。
たまに、意匠屋さんから断熱について相談されることがあります。
普段、負荷計算やPAL計算でお目にかかるので、知っている範囲でお答えするのですけれども。
でも、ちょっと待って下さいね。
『断熱』って、設備設計じゃないんです。
それは、意匠設計の一環なんです。
お間違いなきよう。
だからPAL計算も、意匠設計者のお仕事です。
設備屋の担当は、CECからです。
建物の断熱性能を決めるのは、意匠設計者なのですから。
PAL値が規制値を超えた時に。
「設備で何とかしてもらえませんか?」
すみませんが、何ともできません。
設備屋が何をしたら、PALが納まると言うのでしょう。
(「断熱」おわり)
【追記1】
だから、その結露、設備では何ともできません。
断熱不足による壁面結露は、設備によっては解消できません
(「緩和」するのが精一杯。対症療法)。
悪しからず。
【追記2】
「負荷計算やってますよね、普段」
「はい。でも意匠屋さんから出てくる壁体構造の場合の負荷を
計算するだけです。PAL値はどうしようもありません」
「そんな。何とかできるでしょう」
「どうしても出来ないんです」
「使えない設備屋だなぁ」
「ごめんなさいっっ!」
「もう、あんたには頼まんっ」
「はい、すみません。もうご機嫌を損ねないように消えます。
さようなら」
一応判断基準を超えている事を説明に行くわけですが、説明はなかなか困難です。(現在は、あまりにも判断基準を逸脱している場合は、処罰の対象になってしまうので、基本的には判断基準を遵守するしかありません)
集合住宅等の場合は、判断基準を超えていても、一定範囲内なら受け付けてくれますが、あまり良いことではありません。(現在は、認めてくれないかもしれませんね)
平成22年4月からは、300uを超える建築物にPAL・CEC/AC(共に仕様基準)の判断基準が適用されます。
仕様基準の場合は、COPが一定基準以上なら、空調機容量は無制限ですが、性能基準の場合は空調機容量にも上限ができてしまいます。
将来、判断基準が厳しくなったら、法律のせいで空調が利かないという理由がとおるのでしょうか?(究極の省エネとして空調を設置しない状況になるという事ですかね)
メーカーの高効率機器の開発もいつかは限界がくるので、意匠的な工夫がより求められる時期が近づいてきます。
そこら辺を理解してくれる意匠設計者が増えてくれるといいのですが。
そんな悪循環からは脱却したいものです。
> 究極的な省エネ
無空調もさることながら、「建てない」のが一番の省エネなのでしょうけど……。