2009年04月13日

BACnet規格

オープン化を目指して導入されつつあるBACnet。
しかし、国内ではなかなか期待通りには進んでいないようです。


「オープン」なはずの規格自体いろいろあって、各社プロトコルの採用状況が違っています。


(株)山武では、基本は IEIEJ-P-0003:2000 で、
IEIEJ-G-0006:2006 は一部(savic-netFX)のみ採用だそうで。
http://jp.yamatake.com/product/ba/about/bacnet.html

ジョンソンコントロールズ(株)では、すべて
IEIEJ-G-0006:2006 により構築。

本家の ANSI/ASHRAE 規格とも所々違うようですから、海外ベンダが直接参入もできません。
(ま、日本語対応してくれてないと使えませんが)

LonWorks対応機器はそれなりに浸透しつつあるようですし、やがてJIS規格もできるのでしょうから、ゆるやかに一般化していくものなのかも知れません。


同じLonであっても、異なるベンダ間で接続する場合には1点1点の情報伝達について全部確認しないといけないとか、伝送制御装置の処理能力や適用範囲が各社各様だとか、「マルチベンダ化」への道のりは遠いなぁと思ったりします。

言うは易し、行うは難し

でしょうか。


中央監視装置は、ただでさえ『ブラックボックス』的要素の大きなもの。
見積書の項目に

中央監視装置 一式 1億円

なんて書かれても、それが妥当なものかどうなのか、
あと1千万円安くするのが可能なのか不能なのか、
なかなか見えてきません。

調整費 一式 1千万円
エンジニアリング費 一式 1千万円

なんていうのも、同様。


自動制御・監視設備の設計も、やはり「建築士」には馴染まないなぁと感じます。
もちろん、「建築設備士」にも馴染みませんが。

(「BACnet規格」おわり)



【追記1】

このように書くと、「自動制御設備は基準法にも士法にも規定されていないから建築士の独占業務の設計には当たらないのでは」という議論が出てきます。

一方で『設計』とは『建築物の建築工事の実施のために必要な図面』を作成すること(士法第2条第5項)となっており、敢えて自動制御(に限りませんが)を除外する根拠が無い気もします。

建築に関わる全ての領域の人たちが一堂に会して、「建築物の設計」そして業務独占のあり方とその範囲について、ゼロから議論すべき時期に来ていると思います。

その音頭取りは?

当然、建築業界を統括すべき立場にある建築士であり、その職能団体としての建築士会、建築士事務所協会です。

国は……? 学会は……?

ここ2年ほどの諸改正の内容を見れば、自ずと答えは出ましょう。


【追記2】

「Lonって何?」「中央監視って何?」「BACnetって何?」という建築士の方がいらっしゃったら……。

・建築に関して全権を有している資格者が「知らない」ことは
 許されない。免許返上すべき。

・建築を構成する各要素については詳細な知識までは必要ない。
 飽くまで統括者として在るのが、建築士である。

どっちの考え方に賛成ですか?


ワタクシは後者であるべきだと思います。

でもこのところの基準法、士法は、前者を要求する如く改正されてきています。

「制度がそうなったのだから仕方がない」と万能建築士を目指しますか。

それとも、先進各国で一般的な「建築家」と「技術者」との区別を目指しますか。
その場合には、法律の再改正が必須だと思います。


posted by けろ at 12:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
けろ様、オープン化を進めるには、原動力がなければなりません。
市場自体にオープン化を受け入れる原動力が無いのが、オープン化を阻止しているのでしょう。
あえて、オープン化による厳しい市場環境を受け入れるより、独自システムである事を市場が受け入れている以上、自らその方向には進めないのだと思います。
ここら辺は、エンドユーザー自体もそこまで、オープン化を求めていない事に理由もあると思います。(エンドユーザーが、複数ベンダーに対して、責任分界点を設定できる必要があります)
また、オープン化したシステムが、個別システムより機能・価格的にも優位にたつ必要がありますが、現在はむしろコストアップ要件が大きくなっています。
市場のデファクトスタンダードにBAC-NETがなっていれば、機器価格も大量生産でコストダウンできるのでしょうが、現在はコストダウンより、独自規格の方が利益率から有利という事ですね。
中央監視コントローラー自体は、現在ほとんどのベンダーでwindowsベースの汎用PCとしているので、もともとコストは相当安くなっています。
中央制御システムのコストを押し上げているのは、各ベンダーの制御ソフトウェアと、メンテナンス体制でしょう。(ここら辺が、10万円/台の汎用PCに100万円以上の価格を設定する理由になっています)
ユーザー側にとっても、ブラックボックスの中身はわからない訳で、結果的にベンダーを選定した瞬間から、価格はある意味固定されてしまいます。
しかし、いつかはオープン化せざるを得ない市場環境になりつつあるのは確かです。
Posted by masa at 2009年04月15日 01:19
原動力……公正取引委員会くらいですかね(笑)


監視点数4000点システムのPCスペック

CPU:Pen4、3.0GHz
メモリ:512MB
HDD:40GB
CDD:24倍速
MOD:有
USBポート:有
OS:WinXP
LCD:19型、256色以上、1280×1024以上

で、ハード・ソフト共の見積が、なんと……

A社40万円、B社270万円、C社1400万円

この部分だけ取り出しても、比較になりません。
システム全体で比較すると、大体金額が揃ってくるのですが。それがいいのか悪いのかどうなのか……。


制御、監視に詳しい技術者が設計サイドに加わるように(意匠屋さんがその意味を認め、良くわからないと言って逃げださないように)ならないと、オープン化は難しいでしょうね。
Posted by けろ at 2009年04月15日 10:49
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック