『住吉の長屋』は、実物大模型もありました。
(写真撮影禁止でしたので、別の模型で……)
住吉の長屋(1979年・大阪)模型製作:坂井氏
(
「建築模型の博物都市」による)
(〜こちらは撮影許可をいただけました)
建築士試験を受けようとすると、建築家やその作品、建築史についても学習せねばならないわけで。
よくわからんだけに、興味もなかっただけに、まずは展示を見てみた次第。
数多の国内・国際プロジェクトについても展示されておりました。
彼の「作品」「作風」が好きなわけではありませんが、そのデザインやコンセプトには感慨がありました。
「実物」ではないけれども、これらの展示を通じて得るものは大きかったと思います。
それとともに、彼の「作品」成立のために知恵を絞り技術を結集した多くの技術者たちにも思いを馳せました。
この形状を実現するために、どのように構造を計画するか。
この形状で居住環境を実現するために、どのような設備計画とするか。
砂漠の孤立建物まで、どのように電力を供給するか。
彼がプロジェクトリーダーであって、
彼の「作品」であることは間違いありません。
しかしながら、彼一人では実現できなかったことも事実。
設計のみならず、それを実際に作り上げる施工者の技術力も高度なものが要求されます。普通の建築物ではないだけに。
国外プロジェクトの場合には、現地労働者を組織化し実戦運用するのも大変なことと思います。
海外施工現場のVTRも流されていました。
コンクリート打ち込み時に、一所懸命突き棒で突いている現地の人たち。
建築家・安藤忠雄の価値を微塵も揺るがすものではありませんが、しかしプロジェクトに関わった一人一人の参画も、決してオマケではなく重要なピースの一つ一つであるわけです。
何が言いたいって?
確かに、彼は凄いと思いました。
でも、それは彼一人だけが偉いわけではない。
ただ、それだけです。
でもそれらすべてを「彼一人」に帰してしまうと、いろいろな勘違いが生じてしまうんだろうなぁと、つくづく思ったことでした。
偉大な才能があったとしても、それを発揮させてくれる環境や人々が居ないと開花しない。
そんなことを考えたのでした。
(「安藤忠雄建築展」おわり)